このたび、東京大学先端科学技術研究センター(以下、東大先端研・所長:宮野健次郎)と、IBM(NYSE: IBM)は、インドのグジャラート州アーメダバードの国立デザイン大学(National Institute of Design、以下NID)と共に、モバイル・デバイス向けのオープンな共通ユーザー・インターフェース基盤の共同研究を開始しました。本研究で開発される技術により、高齢者、そして発展途上国の非識字者の、情報アクセスにおける障壁を低くすることを目指します。
この新しい共同研究は、オープンな産学連携を通じてイノベーションを醸成するIBMのオープン・コラボレーティブ・リサーチ(OCR、オープンな共同研究)プログラムの一環として実施され、東大先端研は日本で初めてOCRプログラムに参加する大学の研究機関となります。東大先端研、IBM、NIDは、本研究成果によって生み出されたソフトウェアをオープンソース・ソフトウェア*2として提供し、その他の資料は公開します。
概要
携帯電話は、シンプルなメニューや操作性によりユーザー・インターフェースが改善され、また利用者のコスト負担も小さくなったことから、新興国では読み書きがあまり得意ではない人々にもその普及率は高まっています。しかしその一方で、非識字者は携帯電話を用いて音声情報を得ることは出来ますが、インターネットから提供される情報やサービスを十分に受けられずにいます。今後はこのような人々もモバイル通信を通じて情報にアクセスし、それを活用することで生活の質の向上が図れるよう、モバイル・コミュニケーションの研究を行っているIBMのインド研究所とインターフェース・デザインと民族学の研究を行っているNIDの研究員が、非識字者のコミュニケーションニーズや優先度を明らかにしていきます。
他方、障害者支援の研究を行っているIBMの東京基礎研究所アクセシビリティー・リサーチの研究チームと東大先端研伊福部達特任教授(人間情報工学分野)の研究チームは、高齢化先進国である日本に焦点をあてて研究を行います。豊富な知識や経験を有する高齢者が、快適なモバイル通信を用いて情報にアクセスすることで、積極的に社会参加できるよう、コミュニケーションニーズや優先度を明らかにしていきます。
本研究により、高齢者、また発展途上国の非識字者のクォリティ・オブ・ライフ(生活の質)の向上が期待されます。
用語
*1 オープン・コラボレーティブ・リサーチ(OCR、オープンな共同研究)プログラム
2005年12月に米国で開催された産学イノベーション・サミットで、産官学のリーダーがオープンな産学連携のあり方について議論し、その結果をOpen Collaboration Principlesというオープンな協業に関する方針として発表しました。この方針が、IBMのオープン・コラボレーティブ・リサーチ・プログラムの基礎となっています。当プログラムは、21世紀の社会にインパクトを与えるような難易度の高い研究トピックについて大学とIBMが共同研究を行うための新しい協業モデルを提供します。Open Collaboration Principles に基づいた共同研究成果は、ソフトウェアについてはオープンソース・ソフトウェアとして提供され、その他の資料については公開されます。
*2 オープンソース・ソフトウェア
ソフトウェアの著作者の権利を守りながらソフトウェアの設計図にあたるソースコードの公開を可能にするソフトウェアの使用許諾条件(ライセンス)に基づいたソフトウェアのことです。この使用許諾条件に基づき、誰でもインターネット上に公開されたソースコードを閲覧したり、改良したり、再配布することができます。