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先端研クロストーク第3回「STEAM教育現場における『Art』の在り方」を開催

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2023年4月6日

国際的に注目されているSTEAM教育。その中の「A」とはどのような学びなのか?1月15日(日)に行われた先端研クロストーク第3回では、教員、音楽家、高校生たちが教育現場におけるArtやArtsについて、それぞれの立場から思いを語りました。

STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art[s](芸術/リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の頭文字を並べた言葉で、教科横断的に社会の課題発見・解決に取り組む力などを育む学びです。米国が発祥で、理数系を重視しがちだった「STEM」に「Art、Arts」が加わりました。日本でも取り入れる学校や自治体が増えています。

今回のクロストークは3部構成で開催。「第一部 教員の目線」では、杉山正和所長がファシリテーターを務め、先端アートデザイン分野の近藤薫特任教授、声楽家で東京音楽大学付属高校の小森輝彦校長、広尾学園中学校・高校 医進・サイエンスコースの木村健太統括長を迎えました。

木村統括長は広尾学園高校におけるSTEAM教育の事例を説明。同コースでは生徒自身が研究テーマを設定し、自分なりの答えを導き出す探求型学習に取り組んでいます。生命科学に興味のある生徒が、研究分野に関する多数の論文を読む中で英語力を伸ばすなど、自分の関心ごとを深掘りし、その過程で学ぶ楽しさや大切さを認識するそうです。また、都内の高校生とプロのクリエイターが共同で、AIを活用してモーツアルトの楽曲を現代風に再現させたプロジェクトも紹介されました。

オンラインで参加した小森校長は教育現場におけるアートの意義について、「生徒の皆さんがより人間らしくなること」と定義しました。感性豊かで人間的な音楽を奏でるためには、本能や直感に従った「遊び」が大切だと指摘。小森校長が指す芸術における「遊び」とは、「試すこと・自由でいること・ポジティブに失敗すること」。長年、ドイツで宮廷歌手として活躍した経験を踏まえながら、日本人がなぜ「遊び」が苦手なのか、日本と欧州の「勇気」に対する価値観の違い、遊びの重要性について語りました。

  • 第一部 教員の目線
  • 第一部 教員の目線

この他、「第二部 芸術家の目線」では、近藤特任教授が主宰を務めるリヴァラン弦楽四重奏団によるコンサートが行われました。川久保賜紀氏(第1ヴァイオリン)、近藤特任教授(第2ヴァイオリン)、佐々木亮氏(ヴィオラ)、クリスティアン・ギガー氏(チェロ)が、J.S.バッハの「フーガの技法 コントラプンクトゥス14」とベドルジハ・スメタナの弦楽四重奏曲第1番 ホ短調 「我が生涯より」を奏でました。第1部の終わりには、近藤特任教授から曲の解説があり、数学的と評されるバッハの旋律の美しさ、聴覚を失ったスメタナの生涯などが紹介されました。

また、「第三部 生徒の目線」では東京音楽大学付属高校、広尾学園高校の生徒、藤沢ジュニアオーケストラ(神奈川県藤沢市)の団員が、STEAM教育の「A」の意義や必要性について各自の意見を述べました。クロストークと演奏を通じて得た気づきや、現在の教育現場が抱える課題への指摘もあり、次世代を担う若者たちから力強い前向きな意見が相次ぎました。

  • 第二部 芸術家の目線
  • 第二部 芸術家の目線
  • 第三部 生徒の目線
  • 第三部 生徒の目線

当日の様子は下記の先端研公式YouTubeチャンネル「RCAST Channel」で公開しています。

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