ご案内くださったのは、この道40年以上の渡部勲さん。4年前にリタイアされたのですが風洞を使うときは通ってきてくださいます。
今回スキーチームが実験する「大型低速風洞(通称3メートル風洞)は1930年(昭和5年)に作られました。YS-11や東海道新幹線、富士山頂の観測ドームの実験にも使用されたそうです。
風洞本体は木製で、気温・湿度の変化による木の伸縮をあらかじめ見込んだ、二重構造になっています。円形で作るのはコストがかかるため、現在は四角く作ることがほとんどだそうです。そのため先端研のこの風洞は極めて珍しい、とのことです。
実験の開始です。選手は正面から風速25メートル(時速90キロメートル相当)の風を受けながら、滑降・ジャンプの姿勢を繰り返します。
コンピュータ画面にはフォームと、抗力・揚力の数値がディスプレイされます。
選手も目の前のモニターでデータを確認することが出来ます。飛んでいると数秒ですが、実験環境では時間をかけてベストのフォームを確認できます。
工場のような1号館の奥へ進むと「大気乱流風洞」(右)があります。
さらにその裏手にある垂直風洞では、アオギリ、菩提樹、ユリノキ、オニモミジなど過去に様々な種子について実験・観測がおこなわれ、重心の位置や飛び方、回転数、種子の広がり方などが確かめられたそうです。例えば菩提樹の種子は1分間に実に900回も回転しているといったことがわかります。
実際に、カエデを風洞の中に入れて、網状になった底の下から風を上方に送って飛ばしているところです。風量を調節することで、種は回転しながら滞空します。左右からあてるストロボのタイミングを調節し、写真をとることで、種の回転の速さなどを測定できます。
階段を2階へ上ると「三次元煙風洞」が設置されています。名前のとおり風洞内に煙の線を発生させ、その中に様々なものを固定し、煙の動きで風の流れを見ることができます。過去の実験では、トンボ(ギンヤンマ)を使い、1秒間に40回も羽を動かしているということがわかったそうです。
片隅にはアーチェリーの弓矢なども放置されていました。弓につけられた色とりどりの線で張り具合などを測定、矢の飛び方は風洞使って実験されたこともあるそうです。
同じく2階には計器や様々な装置が並んでいます。右の写真の丸いハンドルのついた装置は、1階の大型低速風洞の風速を調節するもので、この日も実際に使用されました。
風洞の電力を司る計器盤です。このすぐ裏まで高圧の電流が流れてきており、機械で交流を直流にしています。風洞設置時からあるもので独Siemens社製。なんと計器盤は大理石で出来ています。もちろん今も現役です。