IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書がノーベル平和賞を受賞したことにより、執筆者の一人である山口教授宛に送られてきた賞状
そのひとつは、温暖化対策の究極目標の設定です。CO2排出量削減に伴う費用と効果の折り合いをどこでつけるか。気候変動枠組条約では「気候系にとって危険でない濃度に安定化させる」ことを目的にしていますが、具体的な濃度について国際的な合意は未だありません。サンゴの白化、南極大陸の氷解など個別の問題については科学が基準を示すことが出来るかもしれませんが、地球規模の温暖化にとっての危険が何かについては政治の世界で合意しなければならないと考えています。つまり対策をどこまで進めるのがよいのかについての合意がない。そこで日本国内、そして欧米のトップたちと話をしているわけです。
安倍前首相は5月に「21世紀環境立国戦略」を宣言して「温室効果ガスの排出量を2050年までに半減させる世界共通の目標設定を提案する」と表明し、6月のG8サミットでこの線に沿って真剣に検討することとなりました。ところが、実際にはいくら試算しても実現は厳しい。そのつじつま合わせをどうするのか。仮に先進国が100%削減しても途上国に対策が無ければ全体の排出量は増加します。今の中国やインドが削減対策にYESと言うとは思えない。そもそも、先進国が100%減らすことは不可能ですから、調査に基づくそういった矛盾を日本や欧州、米国の指導的立場にある人に説明してきました。