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研究内容

大見出し 論文の先の「事業化」を見据えて
高度な光の操作を行うデバイス開発を

インタビュアー:教授 御厨 貴
聞き手まず最初に、中野先生のご専門についてご説明下さい。
専門は、光エレクトロニクスといいまして、電子工学の一領域なのですけれど、エレクトロニクスにはLSIなどのシリコンを使う分野と、化合物半導体といってシリコンとは異なる半導体を使って光を出したり受けたり制御したりするデバイスを作る領域がありまして、そこを光エレクトロニクスと呼びます。半導体レーザが光エレクトロニクスのデバイスの代表的なもので、我々もその研究を長くやってきましたが、最近では光を出すだけではあまり価値がなく、どう加工し料理するのかが価値の源泉になっており、そこで半導体レーザから光スイッチや波長変換器のような高度な光の操作を行う別のデバイスが中心になってきています。
聞き手中野先生は、戦略的研究拠点がスタートして半年後の2002年4月に先端研に着任されているんですよね?
はい。その前は、本郷の電子工学科にずっといたのですが、先端研にきての第1印象は、違ったディシプリンが一同に会しているのが実感され、特に文科系の先生と日頃接するというのは工学部の中では全然ないので、新鮮でしたし、異分野の交流の中から新しいものが生まれるという感じはありました。
聞き手先端研で研究することのメリットやデメリットについてはいかがでしょうか。本郷との違いはいかがですか。
メリットは従来の枠組みと離れて全く異なる条件のもとで研究ができるということ。やっていることは同じでも周りが違いますから。周りが変わることで、自分のやっていることが違った見え方をしますし、アプローチも自ずと変わってくるということがあります。ずっと本郷にいると、固定化したやり方で、自分のやっていることもあまり変わらず、まわりもそれほど速くは変わらずに、ゆっくりと全体的に世の中の流れにあわせて変わります。しかしながら、移籍してぱっと違う領域に投げ出されることで今までの考え方が相当大きく変わるという感じはします。何年教員をやるかわかりませんが、長い教員生活の中で、何度かそのような転機を意図的に持ち込むというのは結果的にとてもよいことだと思います。2度くらいそういう転機があるほうが、植え替える(研究室や設備の移動)という手間はかかりますけれど、その手間以上のメリットはあると思います。
デメリットは、まず植え替えで特に実験系は1年くらいかかり、場合によっては研究の速度が少し落ちることがあるかもしれません。そして、教育は本郷と駒場の両方でやるので、1日のうちに本郷と駒場を2往復することもあったりして、行ったり来たりに費やす時間は増えました。ただこれは僕にとっては運動になっていますから(笑)、これはデメリット的メリットですね。

中見出し 研究成果の経済的な査定を厳しく

聞き手先端研に移られたことで研究が大きく変わったとおっしゃいましたが、具体的にはどうですか?
私が先端研に異動してきたときは戦略的研究拠点の半年がたっていて、途中から参加するにあたり、戦略的研究拠点の目指す方向に自分の研究をのせるとどうなるかということを考えて、方針を見直しました。オープンラボとTBIプロジェクトの両方になぞらえてみたのですが、まずオープンラボのほうは、従来の産業界で光エレクトロニクスの研究が立ち行かなくなっている部分があったので、大学と産業界が一体となるチームを作って、その問題に産学官連携で一丸となって当たってみるプラットホームを意識しました。オープンラボがないと、そのような大きいプロジェクトをやるリソースが本郷になかった。特に面積的・人的リソースがなかった。
TBIのほうは、自分たちのやっている研究が単に論文で終わるのではなく、実際に事業化するところまで踏み出して物事を考えるとどうなるかを非常に深く考えるきっかけを与えてくれました。ずっと本郷にいれば、クラシックなやり方ですが、深く研究をやって論文にして終わり。論文で良いものが書ければ、小休止を打てて、次は何をやろうかということになっていた。それがTBIというプロジェクトの上で考えるとまだ足らない。論文で終わるのは、それを他の人に手渡すのにはまだ不十分な段階。誰かが論文を読んで、あんなこともできるのかということにはなるかもしれませんが、ダイレクトにバトンを取ってはくれない。論文に書いていることと、それを工業化する間には大きなギャップがあるのに、相手方が勝手に取りに来るだろうと甘く考えてバトンを置いていくわけですが、それではだめだと。我々が最低限真ん中まで持っていかないと、向こうから取りに来ない。TBIでは単に技術的良さだけではなくて、経済的にそれが見合うかどうかといった査定を加えていく過程で、従来は甘かったなということもわかります。自分たちの成果を厳しく査定しなければならないので、論文を残すというのは研究としてはいいけれど、社会生活に影響を残すという意味ではまだまだだということがわかる。

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