どんな人も老化して、心身の機能が低下するわけであるから、バリアフリーの問題は、人間全般にかかわる大きな問題である。バリアフリープロジェクトの研究目的は、21世紀社会において、障害者・高齢者を含むすべての国民・ユーザが安心して、安全で快適な生活を送ることができるように、先端的科学技術を有効に応用していく方法を探り、未来の総合的バリアフリー社会空間の構築を目指すことにある。
障害のある人や高齢者にとって最も重要なのは、失われた身体ではなく、生活上の機能を充足させることである。近年、バリアフリーやユニバーサルデザインが注目されているが、ユーザである障害者・高齢者の生活の視点は十分でなく、ニーズとシーズの乖離が見られる場合もある。本プロジェクトでは、「盲ろう」のディレクターをはじめとする障害当事者スタッフ、障害者に寄り添い日常的に支援を行っている研究スタッフが協同し、生活という視点から人間の活動や社会参加を捉え直すことにより、誰もが住みやすいバリアフリー空間を再構築する。
(1)障害を文化としてポジティブに捉え、(2)環境との相互作用で作り出されてしまっている「障壁(バリア)」を除去するという「障害学」の理念に基づき、心理学、社会学、法律学、支援技術等の方法論を用いて、学際的・総合的な視点から人間本位のバリアフリーサイエンスにアプローチしている。また、「障害」に対するネガティブな意識を変革し、社会の一員として障害者の多様性が認められるようにするために、まちづくり等への参画を通した実践的な研究活動も実施している。そして、これらの研究成果を政策に反映させるために、「公共システムのバリアフリー化に関する研究」(科学技術政策提言)を実施している。さらに、安定したバリアフリー空間を維持するために、産官学連携によるビジネスモデルの形成にも着手している。