地球上のすべての生物の遺伝暗号は、A, G , C , T の4種類の文字(塩基)を用いてDNA上に記述されている。この4種類の文字は、AとT、GとCがそれぞれ相補的に組み合わさることにより塩基対を形成してDNAは二本鎖構造をとる。そして、この塩基対の法則にしたがって、DNAの情報はmRNAに転写され、mRNA上の塩基の配列は翻訳によりタンパク質中のアミノ酸配列に解読される。mRNA上の3つの塩基の並び(コドン)がそれぞれのアミノ酸の暗号に変換され、20種類のアミノ酸から成るタンパク質が合成される。
もし、新たな人工塩基対(第5と第6の塩基)を天然のDNAに導入することができれば、従来の4種類の塩基によるコドンの組み合わせ(4×4×4=64通り)は、6種類の塩基により216通り(6×6×6=216)にまで増える。この拡張されたコドンに21種類以上のアミノ酸を割り当てることができ、新規機能性タンパク質の創製への道を開く。また、人工塩基を導入したDNAやRNAは、新機能核酸としての機能を持たせることも出来る。最近、我々は、転写と翻訳で機能する新規人工塩基対(x-yとs-y)の開発に成功した。