2000年のヒトゲノム解読をうけて、生命科学は大きな飛躍を迎えました。従来無限と考えられていた人間の遺伝情報が、30億塩基対のDNAにコードされた約3万個の遺伝子として、多数ではあるけれど有限のものとして理解されるようになりました。我々システム生物医学ラボラトリー(LSBM)では、人間の3万以上の遺伝子発現を多数の臓器と細胞で測定し、ウェッブ上にデータベースとして開示。その結果、そこから肝癌の新たな診断、治療薬がうまれつつあります。
衝撃はまずDNAチップを用いた遺伝子発現の網羅的解析が可能となり生命の全体像をとらえることから始まりました。そこに見出されるのは、数千のフィードバックが重なり合った新たな生命像です。ヒトの病気はフィードバックの脆弱なところで起こり、その治療はフィードバックの多数が担う定常状態を補正することが目的となります。この考え方から新しいコレステロール治療薬の開発が進み、世界的規模の新薬が誕生しました。
ゲノム情報と生命システムの理解に基づく様々な疾患治療が2010年には花開くと考えられています。厳しい経済情勢の日本においては、生命科学の進展からの技術革新は21世紀前半の経済発展の鍵となります。産業界、国および自治体、大学が協力して、システムとしての人間理解から癌や動脈硬化、膠原病やウィルス疾患などに画期的な治療法の開発を速やかに進めることが必須です。
システム生物医学ラボラトリーは、従来の公務員型のシステムをやめ、文部省および大学、国および自治体のプロジェクト、民間企業、ベンチャー企業の4つの財源を柱に、研究費で雇われる特任教員制度を中心に、核内受容体、G蛋白質共役型受容体、癌高発現蛋白質を中心に創薬標的蛋白質1000個を発現、モノクロナール抗体作成を一気に進め、世界をリードしようと試みています。