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研究について

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研究内容 安心・安全な情報化社会を目指して 情報物理システム 教授 南谷 崇

これからも確実に、急激に進む情報化社会。そこで人々が楽をしながら、安心して頼れるような(ディペンダブルな)システムを作ること。それが目指す未来の社会像です。財産やプライバシー、そして人の命までもが情報システムのネットワークに組み込まれている今、ディペンダビリティを阻害する脅威が3つあります。

情報システムの信頼性を阻害する三つの脅威

まずひとつはLSIの微細化です。集積度はますます高まりトランジスタは微細化して、その最小加工寸法はインフルエンザ・ウィルスのサイズほどになっています。そうなると、製造工程の信頼性が低下し、チップ上のすべてのトランジスタが正常に動作する確率は非常に低くなります。また動作はしてもその特性がチップ上で均一にはならず、ばらつきが生じます。そのため、現象のゆらぎが避けられません。全ての場所でタイミングを揃えて作動させるクロックという同期信号がゆらいで不安定になると誤動作を起こし、原因不明の事態が発生します。さらに宇宙からの微粒子や電磁波など外部からの干渉に対する抵抗にも弱くなっています。米のインテルはこれまで、クロックの周波数を高める努力をしてきましたが、発熱問題などもあり、これ以上スピードを追求することを止めました。

ここでクロックが障害になるならそれを取り除こうとするのが非同期式システム設計で、これによってシステム性能の限界が伸びます。もちろん、原子/分子のサイズという物理的な理論限界は存在しますが、インテルが止めた産業的限界から工学的限界に挑む非同期システムを研究しています。つまり、ひとつの脅威を工学的な手法で解決することを試みています。

インタビューの様子

二つ目の脅威がネットワークの発達です。これまではコンピュータを設計通りに作って、テストで正常に動けばよかったのが、今はネットワークを介して第三者の設計した別の装置と話をしなければならない。しかし、それぞれは正常に動作していた二つのシステム同士を接続すると互いの相互作用で動かなくなるような障害の原因(フォールト)を事前に発見することはできません。不特定多数をつなげるこのようなオープンシステムで、寸分違わないシステム設計は不可能です。そこでフォールトトレランス(Fault Tolerance:耐故障性)を研究しています。例えばテレビなら、仮に内部で一部の部品に問題があったとしても、システム全体としては最終的に画面が映ればそれでよしとする、即ち少々のデザインミスがあっても動くように、最初からしておくのです。

脅威の三つ目は消費電力です。マイクロプロセッサはスピードを上げると発熱します。そのためインテルは、ある限界でクロックスピードを上げることを止めましたが工学的限界はまだ先にあり、これをシステム的な手段で解決する研究を行っています。

ネットワークの接続が増えるとその消費電力だけでなく、計算機を冷やすエアコンにも電力が必要です。そこで電力総需要抑制という観点から、動いていない計算資源の電源を落す、電圧を下げる、ゆっくり動かすだけでなく、計算の順序を変えることで熱を下げる。性能限界を上げるよう、アルゴリズムレベルでの省電力化に関する研究を行っています。

すべてを委ねられる情報システムを目指して

科学や技術はそれ自体で成り立つのではなく、社会の役に立たなくてはいけない。そこで究極の価値である安全と信頼を科学技術の力で成し遂げたいのです。安全と信頼の情報化社会は仕事の効率や満足度を上げ、人と社会の安全を保障し、すべてを情報システムに安心して委ねることができます。情報化社会は本来ゆとりの時間や考える時間が増える筈なのに現実はむしろその逆なのはなぜでしょう。文理融合のテーマとして研究に値するのではないかと思います。

聞き手:今井雅特任助教授

(2006年7月31日)

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