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研究について

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研究内容 中小・ベンチャー企業とイノベーション:その課題と方策 生命科学の法と政策 教授 ロバート ケネラー

大企業による大学の研究成果の先取り

2004年4月の国立大学法人法施行により、日本の大学研究者の研究開発の成果は、政府ではなく大学に帰属させることができるようになりました。これは、米国のバイ・ドール法に類似した制度です。

しかし米国と異なり、日本では大企業と大学の共同研究プロジェクトの数が増加しています。この傾向は2004年の法律施行以前から続いているものです。

実は、このような大学との共同研究によりその傘の下、バイオ分野を除いては、大企業が大学の研究成果を先取りしたり、一部のみを開発したりするという状態を生み出しています。さらに、大学の発明をもとにしたベンチャー企業を創立する機会が減少していることが懸念されます。

中小・ベンチャー企業は特許取得に入り込めない

このように大企業による支配が続く状況下、日本の中小・ベンチャー企業は、特許取得に入り込めないでいます。私は、いくつかの技術分野において、日本の大学、大企業、中小・ベンチャー企業の特許取得状況を比較したのですが、バイオの分野を除きいずれの技術分野においても、ほとんどが大企業によって特許が出願されています(或いは大学等と一緒に共願されています)。

例えば、2003年に登録されたマイクロマシンの技術に関連する特許は、すべてが大企業によって出願されたものでした。一方、同じ技術分野で、米国で登録された特許をみてみると、米国内の大学、大企業、中小・ベンチャー企業によって出願された特許の数が、ほぼ同じ割合になっています。

これは、日本では、大学や中小・ベンチャー企業が特許に至るようなイノベーションを先駆けているとはいえないことを示しており、その状況は米国と大きく異なっているのです。

Micromachine Patents Registered in the Name of Domestic Applicants

ベンチャー企業育成のために必要なこと

それでは、日本のベンチャー企業がイノベーションで活躍できない要因はどこにあるのでしょうか。

ひとつは人材の問題です。日本の場合、修士の就職先はほとんどの場合が大企業で、しかも依然として終身雇用で守られていることが多いため、大企業からの人材流動はあまり望めません。また、起業家の育成にも工夫が必要で、資金調達を含む経営に関する知識はもちろんのこと、技術や知財対策に関しても十分な教育指導が行われるべきであると考えます。

大学側のTLOや知財本部における人材育成も急務でしょう。担当者が研究成果をしっかりと見極める能力を身につけ、大企業だから良しとするのではなく、選別的に大企業とやるべきもの、中小・ベンチャー企業と組んだ方が良いものといった判断が出来るようでなければなりません。

特許法などの各種の法改正だけでは、大学の発明が大企業に流れてしまう現象を止めることはできないでしょう。ベンチャー企業の躍進を実現するには、特許や共同研究の件数に満足するような風潮に流されることなく、あらゆる角度から方策を施す必要があると考えています。

聞き手:小関珠音

(2006年10月10日)

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