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先端とは何か
第五回  西村 幸夫 教授
morikawa
    末端は先端に通じる――か


  末端は先端に通じるか否か、ということについて書きたいと思います。――と、言うのも最近ブータンに行く機会があり、このことを身にしみて考えさせられたからです。
  ブータンは1907 年の王国成立以降、つい40 年前まで事実上鎖国を保っていたこと、現在も外国人の旅行には厳しい制約がある(今もガイドと運転手つき以外の旅行には基本的にビザがおりないことになっています)ほか、登山永久禁止条例があることなどをご存じの方もいらっしゃるかもしれません。公務員がゴ(男性)またはキラ(女性)と呼ばれる民族衣装を着ることが義務づけられています。また、GNH(gross national happiness) 政策が唱道され、チベット仏教の一派が建てた国であるため、政治と仏教が不可分であることも知られています。一方で、農業以外に主要産業がない開発途上国であることも事実です。
  たしかに道路事情も決して良いとは言えず、生活物資もきわめて限られています。首都ティンプーでさえ人口10 万人ほどの地方都市のようですし、国内に交通信号はひとつもありません。首都に1カ所、警察官が手旗信号で交通を制御する交差点があるだけです。
  しかし、行ってみて驚いたことは、医療も教育もすべて無料であることです。どんなに貧しい家庭の子弟でも義務教育だけでなく、成績さえよければ大学教育まで無料で受けられるのです。また、教育が英語でおこなわれるためみんな英語が上手です。国内でできる医療行為は限られていますが、難病の場合はインドでの受診のための医療費だけでなく、聞いたところによると、付き添い者の分まで交通費も支給されるというのです。
  さらに驚いたことは人家もないまったくの山道でもほとんど例外なく携帯電話が通じるということです。聞くと、農村部でも都会と同様の情報サービスが受けられることは教育・医療の機会均等と同じく重要視されているということです。
  こうした政策のおかげで、どんな田舎でも一定の公共サービスが受けられる仕組みが整っているのです。民家もすべてブータン風で規模も大きく、山岳地帯に散在している様子はまるでスイスのようです。美しい風景の中で人々はゆとりを持って生活しているようで、極端に豊かな人はおりませんが、極端に貧しい人もいない幸福国家が実現しているのです。末端が幸福であるというこ とが先端の政治に通じる、と思えるのです。
  じつは私も都市保全や都市の文化政策など、アジアを含め、各地の現場を廻り、いわば末端を大切にする仕事をやってきたのですが、ブータンの様子を知って、それも徹すれば先端につながる――かもしれない、と思った次第です。

(2012年10月)

首都ティンプーの交差点

ブータン唯一の(手旗)信号のある交差点@首都ティンプー
建物はすべてブータンの様式で建てることが義務づけられている

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