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先端とは何か
第六回  池内 恵 准教授
ikeuchi


  中東・イスラム研究が「先端」であると認められているかどうか、定かではないが、専門分野を名乗ると「おお」「忙しいでしょう」といった反応を得ることが多いので、少なくともこの分野が「珍しい」かつ「必要だ」と認知されているようには感じる。
  考えてみると、1990 年代の前半にこの分野を選んだ頃は、中東・イスラム研究をやる、などと言っても「はあ?」「物好きな」というような反応をする人が多かった。
  この当時に私が中東・イスラム研究に踏み込んだ理由は、「ここに何かがありそうだ」「取り組んでいくと、長い間楽しめそうだ」という漠然とした予感以外にはなかった。
  2001年の9・11 事件、2011年の「アラブの春」など国際政治を揺るがす変動の発信源となって、「ここに何かがある」と多くが認識してくれているようである。しかし目覚ましい研究成果を出してみせたからというよりは、研究対象そのものが劇的な変化を目の前で起こしていってくれるために必要性が認められるというのは、やや複雑な気分だ。
  人間社会を対象にする学問は、通常は実験を行って確かめることはできない。だから自説を実証したり、ある対象の重要性を論証したりすることは、通常なら難しいはずだ。思想を研究しても、研究対象が実際に政治・社会に適用されれば何が起こるかと試してみることはできない。普通なら、思想は思想のままでとどまり、現実政治との直接的な関係が露わになることは少ない。しかしイスラム思想は、現代世界において現実政治を直接的に動かす事例が見られる(それによって「重要性」をそのものが実証してくれる)、数少ない思想体系である。
  1992 年にフランシス・フクヤマが著書『歴史の終わり』で、冷戦の終結によって政治体制をめぐるイデオロギー上の対立は終焉した、と宣言して話題を呼んだ。しかしイスラム教に基づくイデオロギーには、新たな変化を引き起こす可能性があるのではないか、と直感したのが、中東・イスラム研究を「面白い」と感じた理由の一つだった。リベラル・デモクラシーに収斂していくとされる世界の趨勢に抗いうる数少ない思想体系であることをイスラムが示すにしても、あるいは逆に、その思想体系を大きく変容させてグローバル化の波に身を投じていくにしても、いずれにせよ世界史上の大きな動きを目撃することができそうだ。そのような未知の可能性の所在を突き詰めていくことが、「先端」を目指す道なのだと今になって思う。

(2012年12月)

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