研究者一覧
- 准教授Associate Professor
- 米代 武司YONESHIRO Takeshi
- 代謝医学 分野
略歴
2013年 3月 | 北海道大学大学院医学研究科 博士後期課程 修了 |
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2014年 4月 | 北海道大学大学院獣医学研究科 博士研究員(学振PD) |
2016年 7月 | カリフォルニア大学サンフランシスコ校 博士研究員(学振PD、海外学振) |
2020年 4月 | 東京大学先端科学技術研究センター 特任助教 |
2021年 2月 | 東京大学先端科学技術研究センター 助教 |
2022年 4月 | 東京大学先端科学技術研究センター 准教授(~2023年 3月) |
研究分野
肥満は心不全や脳血管障害、肝疾患の最大のリスク要因です。肥満の予防には適切な食事管理と習慣的な運動が有効なことは誰もが知る事実です。しかし、これらの生活習慣改善を継続的に実施することは容易ではありません。そのため、肥満患者は世界中で増加の一途をたどっています。私たちは、肥満関連代謝性疾患の効果的な治療法を考案するため、環境刺激(寒冷環境への曝露など)に応じてエネルギー消費を行う脂肪細胞(褐色脂肪細胞、ベージュ脂肪細胞)に着目しました。この脂肪細胞の代謝活性を制御するメカニズムを解明することにより、新たな肥満治療法を創出することを目指しています。
私たちの研究グループは過去の研究で、脂肪細胞の代謝機能が環境要因によるゲノムの後天的修飾(エピゲノム)を介してダイナミックに変化することを明らかにしました。現在の研究では、環境刺激への曝露情報が親から子へ伝わり、子の脂肪細胞の代謝運命が決定される可能性を検証しています。その分子メカニズムについて、マウスゲノミクスや分子生物学的手法、網羅的エピゲノム解析技術、一細胞遺伝子発現解析技術などを駆使しながら解明しています。同時に、このユニークな細胞運命決定機構がヒトにおいて果たす生理的意義を調べるため、健常者を対象とした臨床試験を進めています。さらに、褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞のセルタイプの多様性の全容解明にも取り組み、特定のセルタイプだけを特異的に活性化する方法の開発を目指しています。
これらの研究は、副作用が少なく効果的なエネルギー消費亢進法、すなわちこれまでになかった肥満関連代謝性疾患予防法の考案に役立つと期待されます。
受賞
- 2010年10月 北米肥満学会誌 最優秀論文賞
- 2014年10月 第3回エネルギー代謝に関する国際学術会議 若手研究者奨励賞
- 2022年 6月 日本栄養・食糧学会 奨励賞
キーワード
エネルギー代謝調節、エピジェネティクス、脂肪細胞の多様性