加齢による心身機能の低下、病気・けが、障害によって我々誰もが生活に不自由する可能性がある。その当事者になった場合、科学技術は大きな支えになるにちがいない。高齢人口の増加と労働人口の不足が予測される中、介護やリハビリを人に頼るだけでなく、パソコンやロボットなど、自立を支援するテクノロジー(支援技術)の利用も福祉の中に取り入れることを想定し、テクノ福祉社会を構築する必要が生じてきている。これまで、Assistive TechnologyとAlternative and Augmentative Communicationという2つの障害支援技術の当事者への適用研究を行うと同時に、機器データベースの開発研究を通して技術を当事者に届ける役割を負う支援者の養成および開発者支援を行ってきた。しかし、現状では、誰もが支援技術を簡単に利用できるには至っていない。その理由として、支援技術開発研究はあっても支援技術利用に関する研究が少なく、科学的エビデンスが示せてないために、開発・供給・利用のサイクルがうまく機能していないからだと考えられる。例えば、開発時の利用者ニーズの把握に関しても単なるインタビューにすぎず、科学的手法を用いたニーズデータの把握は行われていない。また、市場規模調査等も無く、開発や制度改正を促進するエビデンスが存在しない。エビデンスをもとに科学技術発展の方向性を提示することで、「誰もが納得して簡単に利用できる未来の技術」と「テクノ福祉」の構図が見えてくると考える。そこで、支援技術の利用を科学することにより、その推進力となる新しい学際研究領域「テクノ福祉を実現するための簡単・先端支援技術研究」の創成を目指す。