設立の理念

先端研の4つのモットーは、国際性や産学連携といった考え方の黎明期に掲げられました。 一般的になった言葉を、なぜ、今でも敢えて掲げ続けるのか。それは、たとえどれだけ時代が変わっても、 このモットーの根底にある研究哲学こそが、次を切り開く力になるからです。

先端研の4つのモットーについて(2004年6月)

学際性

先端研の特長である4つのモットーのひとつは、教員を幅広く異なる学問領域から招聘し、科学技術の進展のために組織した枠組みの中に迎え入れていることである。今日のように専門化が進んだ時代にあっては、単一の研究室でのみなされる研究では、大きな利益をもたらし難いであろう。そればかりか、貴重な時間と研究経費とを利用する上で、非効率かつ冗長となり、さらには破壊的な結末へとつながりかねない測りがたい危険性をも含んでしまう。

異なる学問領域の研究者が連係して研究を進めることで、ここで行われる基礎研究は、深い洞察にさらされることとなり、その内容とあり方に貴重を警告が与えられるばかりか、時間と経費のより効率的な投資をも促すことにもなると、先端研では確信している。さらに、自然科学から社会科学、人文科学に至る専門家の連係は、よりダイナミックで刺激的な研究環境を育み、研究者ひとりでは得難かった新しい可能性を開くものと考えられる。

流動性

企業、行政機関、教育機関を問わず、組織の革新を図る上での障害は、長年にわたり同一の仕事に従事していると陥りがちな惰性と変革への無関心である。常に新鮮な思考と先見性にあふれた組織運営を進めるために、先端研は全ての構成員に比較的短期間の任期を課していて、学内の他の部局はもとより学外の諸機関から広く人材を募っている。先端研の教員はまた、大学院先端学際工学専攻、国際・産学共同研究センター所属の分野の中で、先端研と一体運営がなされている分野とも人事の交流を図っている。

先端研組織内の各レベルの流動性を確保するために、全ての教授会構成員には最長で10年の任期が設定されている。また、研究テーマ、さらには分野そのものも定期的に各分野の専門家によってその存在価値が大局的に評価され、その存続の適否が決定される。

先端研設立以来10年余において、大部門の改組と共に既に約10分野でその名称が変更され、ほとんどすべての基幹分野において、あらたな教授が着任した。

国際性

先端研存立の第3のモットーは、国際性である。先端研の活動は、全世界の人類の利益に大きく貢献することが求められている。この目的を最も効果的に達成する方策は、研究者および研究経費を世界的規模での連係のもとで獲得することである。世界的な規模で展開されている学問領域を代表する研究者と密に連係してゆくことによってのみ、先端研は、さらにはわが国は、今後人類に大きな利益をもたらすであろう科学技術の発展に大きな寄与を果たすことが期待できる。

寄付研究部門の創設を通して、先端研は教育と研究の両面で国際性と学際性を展開するための新しい仕組みを確立する先導的役割を果たしてきた。これまでに、先端研の寄付研究部門には、約100人の著名な研究者が世界各国から招聘され、そのネットワークはなお重要な役割を果たしている。勿論、先端研の各研究分野も、それぞれ、国際的な研究協力を進めている。

公開性

先端研は、共同研究を推進している。これをひとつの目的に客員教授の席を設け、広範な学問領域から招聘して、教育・研究の両面で充実した連係が得られる環境において、研究の展開が計られることを期待している。大学院教育に関しても、1992年以来、先端研は独自のプログラムを進めている。工学系研究科先端学際工学専攻であり、企業や研究機関に在職しつつ、さらに進んだ教育を受け、かつ研究経験を蓄積することを希望する方々に門戸を開いている。本専攻は博士号取得に向けた研究の場を提供するのみならず、先端研での経験は職場に戻った後の活動を活性化するためにも役立つものと期待される。また、1996年に設立された国際・産学共同研究センターも、先端研の公開性と国際性の展開に寄与するものと考えられる。

先端研では、オープンハウス、シンポジウム、セミナーを開催し、企業、行政、教育・研究機関の方々、ならびに一般の方々の参加を求めている。この他、出版物として、RCASTニュースを刊行している。

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