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メイール・バルアシェル教授(ヘブライ大学)によるクルアーン学に関する連続講義を開催

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2021年2月24日

  • メイール・バルアシェル教授 メイール・バルアシェル教授
  • グローバルセキュリティ・宗教分野 池内研究室では、山城貢司特任研究員をプランナー/コーディネーターとして、国際研究プロジェクト「未来の人文学に向けて:思想研究のための国際研究ネットワーク構築」を推進しています。このプロジェクトの骨子の一つである講義・ワークショップ・研究セミナーシリーズの第2弾の催しとして、エルサレム・ヘブライ大学のメイール・バルアシェル教授(Prof. Meir Bar-Asher)をお招きし、12月27日と1月3日の2回にわたり、クルアーン学に関する講義をオンラインで開催しました。本講義にはイスラーム学やその他の分野の専門家が毎回20名以上参加し、バルアシェル教授との間に活発な質疑応答が交わされました。

    クルアーンにおけるユダヤ人/ユダヤ教の位置付け、就中イスラームの自己規定をめぐるその含意は、クルアーン学における最も興味深いトピックの一つとして、これまで数多の研究が蓄積されてきました。さらに、イスラーム成立過程においてユダヤ人/ユダヤ教の果たした決定的な役割について、現在に至るまで集中的な議論が交わされています。本講義では、「クルアーンにおけるユダヤ人とユダヤ教」と題して、この問題に関する最新研究成果であるバルアシェル教授の近著Les Juifs dans le Coran (Paris: Albin Michel,2019)の内容を紹介してもらいました。

    第一回講義では、最初に前イスラーム期におけるアラブのユダヤ人/ユダヤ教の存在について簡単な言及がなされた後、ユダヤ人/ユダヤ教に対するクルアーンの二律背反的な態度について、用語法やイメージ表象の観点から概括的な説明がありました。講義の後半では、ムハンマドの預言者としてのキャリアにおけるユダヤ人/ユダヤ教徒との関わり合いについて、通時的・発展史的説明がなされました。加えて、イスラームにおけるユダヤ人の法的地位のクルアーン的淵源やシーア派におけるユダヤ人/ユダヤ教観の特色についての短いコメントもありました。

    第二回講義では、クルアーンにおけるヘブライ語(+アラム語)起源の単語や表現、またヘブライ語聖書とクルアーンの間のテクスト的一致に関する予備的観察がなされた後、クルアーン内の聖書伝統の主要特徴(登場人物・省略・繰り返し・ほのめかし・倫理的性格など)が列挙されました。講義の後半では、特にクルアーンによる聖書の語り直しの問題に焦点が当てられました。ここでは、クルアーンに保存されている聖書伝統が、ヘブライ語聖書そのものよりも、むしろそのミドラーシュ的再解釈にしばしば直接依拠していることが文献学的手法により明確に示されました。

【開催概要】
日時:
2020年12月27日(日)午後3時 − 5時(パートA)
2021年1月3日(日)午後3時 − 5時(パートB)

講師:
メイール・バルアシェル教授(エルサレム・ヘブライ大学 人文学部アラビア語・アラビア文学学科)

主催:
東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野 池内研究室

共催:
東京大学先端科学技術研究センター 創発戦略研究オープンラボ(ROLES)
東京大学グローバル地域研究機構(IAGS)
GSIキャラバン・プロジェクト「中東国際政治における主要地域大国と域外大国の関係をめぐる実地調査と対話」(代表者:池内恵)

キュレーター:
山城貢司 特任研究員(グローバルセキュリティ・宗教分野 池内研)

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