令和7年度工学系研究科先端学際工学専攻 春季入学式を挙行
- 先端研ニュース
2025年4月24日
4月1日(火)、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻の入学式が開催されました。冒頭、先端学際工学専攻 常務委員の角野浩史教授が祝辞を述べました。
角野常務委員は、戦争や自然災害をはじめとする地球規模の課題解決には、分野や言語の垣根を越えた共同作業が不可欠であると語りました。自身の研究対象でもある火山を例に挙げ、日頃の調査や分析から噴火が迫っていることを事前に検知したとしても、社会への周知方法や、噴火に備えた自治体の行動、地域住民の避難期間などはどうすべきかといった多くの問題が発生し得ることを説明し、「当然ながら個々の研究者や研究組織などでは解決できず、異なる分野の人たちとの協力が必要」と話しました。
そのうえで、先端学際工学専攻はカリキュラムや研究プログラムを通じて多分野の研究者たちと協力して、どのように問題を解決していくか学ぶことができると魅力を語りました。角野常務委員は「相手の話を聞くだけではなく、自分の話もしなければならない。その時、専門外のかたにいかに分かりやすく説明できるか、相手がどれだけ理解しているのかコミュ二ケーションを取りながら把握するスキルが必要」と呼びかけました。「東大でもトップクラスの学際性」という先端学際工学専攻の環境を活かし、学位取得を目指しながら、他者との対話力も磨くようにとエールを送りました。
- 祝辞を述べる常務委員の角野教授
続いて、先端科学技術研究センター所長の杉山正和教授からも祝辞が贈られました。
杉山所長は、入学生たちが博士号を取得した暁には、「社会のリーダーになり、課題解決に向けて人々を導いていくことが求められている」と呼びかけました。そのためには、学術的な深い知識だけでなく、卓越したコラボレーション能力や表現力を身に着ける大切であると説きました。
森羅万象を事細かく分類して、世の中を理解しようとする西洋的ともいえる学問の成り立ちを受けて、博士課程での研究というのは「対象を分けて、深く掘り下げ、極めていくことが主な活動になる」と伝えました。一方、その研究活動から得られた知見、能力は社会の現象を理解するには役立っても、複雑化する現代の課題解決になかなか直結せず、そのことが「博士課程を卒業して遭遇するであろう最大の困難さ」であると表現しました。
そのため、研究活動は大事にしつつ、先端学際工学専攻では「将来、共に課題を解決できるパートナーを探したり、視野を広くして、様々な要素の掛け算の練習をしたりしてほしい」と語りました。また、深い専門性に根付いた自信と熱意、相手へのリスペクトがあれば、違う分野の専門家ともより良い繋がりをつくっていけるとアドバイスを送りました。
- 挨拶をする杉山所長