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所長メッセージ:科学技術の先端を追求し、育み、社会につなぐ  広報誌『RCAST NEWS』
118号掲載

  • 先端研ニュース

2023年3月2日

  • 杉山所長

2022年4月に杉山正和教授が先端研の第14代所長に就任してから、1年がたちました。
先端研が目指すこと、社会における役割とは何か-?
杉山所長の思いを紹介します。

現在の社会課題は複雑化し、人類が自然の在り方を変えてしまうような様々な問題を引き起こしています。例えばエネルギー分野では、できるだけ二酸化炭素を出さないよう、2050年に向けてカーボンニュートラルを達成できる新しいエネルギーシステムに移行していくことが重要となっています。しかし、その実現には長いスパンで人類が協調して行動すべきことと、今日身の回りでやるべきことが多岐にわたって存在しています。また、国際紛争や先進国と発展途上国の間の格差がカーボンニュートラルへの道程をさらに複雑にしています。さらに、生態系の保全も意識した解決策が求められています。空間軸、時間軸の中で問題と解決策を整理し、そして地球全体を包含する俯瞰的で多様な視点をもって、地球上の皆が幸せになるためのアクションを先端研は探究していきます。

これまでの科学技術は自然を支配する方向に動いてしまっていました。科学技術の発展により引き起こされた地球温暖化や生態系の破壊などの問題は、人類自体が生きていくための脅威となっています。改めて、自然と人類が共存するための科学技術の姿を目指して、次の時代の科学技術の先端を追求し、育み、社会へつなげていきたいと考えています。

東京大学の数ある研究所の中でも、先端研は専門分野を定義していません。材料、情報、環境エネルギー、社会科学、生物医化学、バリアフリーという多岐にわたる領域の研究者が連携して研究を進めています。また、前任の神崎所長から受け継いだアートデザイン分野に力を入れ、高野山と連携して宗教の背後にある哲学と科学技術との接点を考えるなど、オリジナルな取り組みを仕掛けています。

先端研は、「未来を拓く先端を探し、育て、社会につなぐ研究所」です。「先端とは何か」を探し続けることがアイデンティティとなっています。専門を突き詰めていく研究所は数ありますが、先端研の中には多くの専門の種があり、次の時代に人と自然が協調してより豊かな生活を送るために専門の種をどうつなげるかを絶えず考え続け、日々研究を進めています。先端研は、この目的を実現するための試み、解決策を世の中に提示していくことを目指しています。

理性だけでなく感性で感じ合い、共鳴してよりよい社会を目指す活動の中で、アートデザインと科学技術が連携して、未来を見据えた社会との対話を形成していきます。先端研に来ればよりよい社会を作れる、未来を求めて探求できる場所にしたいです。先端研の研究者やスタッフは「先端を探し続ける」チャレンジ精神、冒険心を共有し、社会とのつながりを意識して、新しいことに日々挑戦し続けます。

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