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研究動画 鋼の結晶成長を見よう
高機能材料分野 井上研究室

  • 先端研ニュース

2020年3月13日

鋼は身近なありふれた材料ですが、まだまだ分かっていない部分も多い金属です。
鋼がアルミ合金や銅合金の様な他の金属と大きく異なる点は、1000度ぐらいの高温と室温ではその結晶構造が全く異なることです。この性質を利用して、私達は鋼の中の結晶の形を操り、様々な特性を持った鋼を作り分けています。
ここで紹介する動画は、合金元素の添加量が異なる鋼を、同じ様な冷却速度で冷却した様子を観察した例です。結晶が出始める温度や出方、形が、合金元素の量によって全く異なることがよく分かると思います。
この様な結晶の成長をどう制御するかが高機能材料を開発するうえでの重要な鍵(ノウハウ)になります。

鋼の結晶成長を見よう 銅の相変態(フェライトサイドプレート)

解説

炭素量が0.15%程度の普通鋼における結晶の成長です。
鋼を溶接したときの様子を模擬した温度履歴を与えています。比較的高い温度(650℃ぐらい)からフェライトサイドプレートと呼ばれる板状の結晶がゆっくりと成長します。同じ様な方向に祖大な結晶が並ぶため、非常に割れやくなってしまいます。鋼は簡単に溶接できると思われがちですが、何の工夫もなく溶接をするとこの様に脆く壊れやすい状態になります。

鋼の結晶成長を見よう 銅の相変態(ベイナイト、マルテンサイト)

解説

炭素量は0.15%程度で同じですが、少しだけ合金元素を調整することで、溶接をしても祖大な結晶が出ない様にした鋼です。
比較的細かいベイナイトと呼ばれる結晶粒が色んな方向に生成していく様子が見て取れます。また、450℃ぐらいまでの結晶の成長とそれ以下の成長が異なることも分かります。この様にして、溶接しても強度が劣化せず、割れにくい鋼となるように調整されています。

鋼の結晶成長を見よう 銅の相変態(マルテンサイト)

解説

炭素量はこれも0.15%程度です。自転車にも使われるクロモリ鋼の一種で、強度が高く、加工性に優れるため、自動車や飛行機にも使われる鋼です。
比較的ゆっくり冷やしても、300℃ぐらいまで何も起こらず、そこから一気に板状のマルテンサイトと呼ばれる結晶が発生するため、非常に硬くなります。ただ,割れやすいので溶接には注意が必要です。とは言え、アルミやチタンと比べると遥かに溶接しやすい材料です。

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