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人工光合成に適用可能な「その場観察フォトルミネッセンス法」を開発

  • 研究成果

2021年5月10日

東京大学先端科学技術センター エネルギーシステム分野 嶺岸耕特任准教授、杉山正和教授らの研究チームは、光触媒反応中の電子状態を観測することに成功しました。 本研究にて新たに開発したその場観察フォトルミネッセンス法は、光触媒の動作原理解明に貢献し、ひいては人工光合成の実用化に役立つと期待されます。

【概要】
近年、光触媒による水分解反応は水と太陽光のみから安価かつ大規模に次世代エネルギーキャリアである水素を生成する、人工合成として注目を集めています。この光触媒による人工光合成の実用化には高効率化が最も大きな障壁です。この高効率化を達成するには動作原理の解明が不可欠です。光触媒は光を受けると、その内部に電子と正孔の対が生成します。その電子と正孔がそれぞれ水を還元、酸化することで酸素と水素が生成します。したがって、この電子と正孔の振る舞いを理解し、制御することが人工光合成実用化へのカギになります。
今回、新たに開発した「その場観察フォトルミネッセンス法」では、光触媒中に生成した電子と正孔が再度結合する際に示す発光を調べることで、実際に反応を行っている中での電子状態を明らかにすることができます。電極化した光触媒の電位、および雰囲気を制御しながら本手法を適用したところ、光触媒表面および内部の欠陥の影響を明らかにすることに成功しました。今後、発光寿命を測定するなどのさらなる検討を行うことで、各電子状態の反応への影響を明らかにし、性能抑制因子を解明することに取り組みます。

図:光触媒に光が入射すると反応が起こると同時に発光を示す。発光を調べることで反応中の電子状態が明らかになる。

図:光触媒に光が入射すると反応が起こると同時に発光を示す。発光を調べることで反応中の電子状態が明らかになる。

【論文情報】
雑誌名:
The Journal of Physical Chemistry C
論文タイトル:
In Situ Photoluminescence Analysis of GaN Photoanode during Water Oxidation
著者:
Tsutomu Minegishi*, Soraya Shizumi, Oguz Ciftci, Tatsuro Endo, Yuki Imazeki, Yuriy Pihosh, and Masakazu Sugiyama
URL :
https://doi.org/10.1021/acs.jpcc.1c02005別ウィンドウで開く

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