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包括連携協定先の山口県にて「気候変動を学ぶステップアップセミナー」を実施

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2024年3月4日

2月10日、山口県の山口県立山口図書館にてZoomとのハイブリット形式で、2050年脱炭素社会や持続可能な社会に向けた新たな時代の人づくりを目的に「気候変動を学ぶステップアップセミナー」が実施されました。主催は、山口県環境政策課、山口県気候変動適応センター、共催は、東京大学先端科学技術研究センター(以下先端研)、地域気象データと先端学術による戦略的社会共創拠点 ClimCORE 、山口県地球温暖化防止活動推進センター、山口県環境学習推進センターで開催されました。

セミナーは2部制で開催され、開会のあいさつとして山口県環境政策課の大堀智弘課長から山口県の地球温暖化対策に関する取り組みについてお話がありました。

第1部は先端研の中村尚教授が「顕在化する地球温暖化と最近の異常気象」というテーマで特別講演を行いました。講演では、偏西風の顕著な蛇行に顕在化する地球温暖化が重なると猛暑や豪雨などの異常災害の発生頻度が高まることや、数億年規模の長期的な気候変動はあるが、近年ではそれ以上に人為由来の温室効果ガスの増加が原因で温度変化が顕著であることなどが語られました。

第2部は先端研の飯田誠特任准教授のコーディネーターの下、パネラーとして、周防大島の海洋の保全活動をしている自然公園指導員の藤本正明氏、山口県地球温暖化防止活動推進センター温暖化対策室長の田部一則氏、野田学園中学・高等学校の生徒5名が登壇し、それぞれの活動紹介の後にパネルディスカッションが行われました。

まず、それぞれの取組紹介として、先端研の飯田特任准教授は「地域とともに創る持続可能な社会」というテーマで、地球温暖化問題の難しさや、先端研の地域共創リビングラボを絡めながら、自身が今まで地方自治体で行ってきた福島県いわき市での取り組みなどを例に語りました。

自然公園指導員の藤本正明氏は「周防大島(瀬戸内海)での海洋や陸域の変化」というテーマで自らが長年研究してきた周防大島周辺に生息するニホンアワサンゴの生息域や突然変異に関する研究を基に、近年の海洋の変化にまで注目し、私たちが環境を守るためにできることについて語りました。

山口県地球温暖化防止活動推進センターの田部一則室長は「地球温暖化対策における地域センターの役割」というテーマで、センターの活動についての話を行い、環境省からの補助事業として、地球温暖化防止活動推進員と連携した活動を行っていることや、山口県からの委託事業として様々な取り組みを行っていることなどを語りました。

野田学園中学・高等学校の生徒たちは「アースバトン~九州・山口の未来~に参加して」というテーマで、アースバトンに参加した上で、ごみを減らすためのアクションプラン「Re:サイクル県山口」を考えたことや、リサイクルに関する校内アンケートの実施結果、校内でのポスター掲示での呼びかけについて語りました。

その後のパネルディスカッションでは、飯田特任准教授のコーディネートの下、「知る(わかりづらい環境や社会の課題を知る工夫)」、「つながる(個の取組を拡げるためのネットワークの形成)取組」、「実感する(活動や取り組みの有用性を実感、理解するためには)」、「持続性(持続的に活動を進めるために必要な要素)」4つのテーマを踏まえながら様々な意見交換が行われました。

今回のパネルディスカッションでは、絵や図形などを用いてリアルタイムにまとめる「グラフィックレコーディング」や、参加者が登壇者に対して質問をチャット形式で投げかけることができる「スグキク」を用いたこともあり、登壇者と参加者の双方向コミュニケーションが可能となり、参加者からも非常に好評でした。

最後に総括として、中村教授より、気候変動問題には幅広い知識が必要であること、情報を入手する際は、その情報を精査することが重要であること、環境問題に関する取り組みが本当に有益なのかを多角的な視点で評価することも考えてほしいと締めくくりました。

  • 中村教授の特別講演
  • 中村教授の特別講演
  • 飯田特任准教授とパネルディスカッションの様子
  • 飯田特任准教授とパネルディスカッションの様子
(左から)大堀氏 中村教授 田部氏 藤本氏
野田学園中学・高等学校の生徒の皆様 飯田特任准教授
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