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自動追尾営農型太陽光発電システムを組み合わせた米作りの実証研究
―安定した発電と高収量の稲作を両立するための太陽光発電システム―

  • 研究成果

2025年8月21日

発表概要

東京大学先端科学技術研究センター新エネルギー分野の岡田至崇特任教授らの研究グループは、長野県宮田村の水田(面積8.3アール)にて、自動プログラム制御による二軸追尾型の営農型太陽光発電システムの実証を行いました。山地が多く平地面積の限られる日本では、収入が安定した営農と電力供給が両立できるかが課題です。地上3mに設置した太陽光パネルは、日中及び季節ごとにパネルの傾き角度をプログラムにより自動で調整することで、下部農地の日陰を少なくして生育を優先させる稲作優先モードと、発電を優先させる発電優先モードとのバランスを図り、営農システムの最適化を行いました。地元の関係者の皆様の協力の下で2年間にわたる実証を行い、水稲(コシヒカリ)の収量は最大85%でかつ最高等級の品質が得られました。太陽光パネルの年間発電量は約44,000kWhで、20年間の使用を想定したときの発電コストは家庭用電気料金とほぼ同価格にまで下がることが分かりました。今後はAIと組み合わせてパネルの操作以外にも自動化を取り入れることが可能で、営農者の作業負担を減らし、適切な営農による収入と冬場を含めた年間を通しての発電による収入が見込める高収益農業の可能性を広げるための実証研究が期待されます。

ー研究者からのひとことー
本研究において、コスト競争力のある太陽光発電と高品質・高収量の稲作の両立が可能であることを示す有意義な結果が得られました。今後太陽光パネルによって作られたクリーン電力を、スマート農業に直接使うことが考えられます。農地で得られた日射量、気象、温度センサーや水位センサーのデータとAIを用いて、営農と太陽光発電の収益のバランスの予測と最適化や安定化を図ることができるようになります。営農型太陽光発電システムを用いては、パネルにより夏場の強い日照りの遮光が行えることもメリットの一つです。(東京大学先端科学技術研究センター 特任教授 岡田至崇)

  • 図
図:自動二軸追尾型の営農型太陽光発電システム
二軸追尾型の太陽光発電システムを備えた水田では、太陽光パネルを傾けて日陰を少なくして水稲の成長を優先する(上)か、発電を優先する(下)方式をコントロールできます。

掲載論文情報

著者名:
Yoshitaka Okada, Akira Kotagiri, Toshio Sakamoto, Masaki Itoh, and Mansaku Misawa
タイトル:
Case study of rice farming in Japan under agriphotovoltaic system
雑誌名:
Journal of Photonics for Energy
掲載日:
2025/08/04
DOI:
10.1117/1.JPE.15.032704
URL:
https://doi.org/10.1117/1.JPE.15.032704別ウィンドウで開く

謝辞

本研究の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて行われ、GEPower、坂本電機、伊藤電工各社との共同研究の成果です。ご協力いただきました関係者の皆様、また長野県宮田村農業委員会の皆様に心よりお礼申し上げます。

問合せ先

東京大学先端科学技術研究センター 新エネルギー分野
特任教授 岡田 至崇 (おかだ よしたか)

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