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グリーン水素、ついに“0円以下”へ
―収益性と脱炭素化を両立する蓄電・水素エネルギーマネジメントシステム(BHS)を開発―

  • 研究成果

2026年4月23日

発表のポイント

  • 再生可能エネルギー由来電力を活用した水電解プロセスを利用し、グリーン水素の製造時価格を0円/Nm³以下とすることに成功しました。本成果は、製造時価格が数十円であった従来の高コスト構造を転換し、グリーン水素を収益創出型ビジネスへと進化させる技術的なブレークスルーです。
  • 蓄電池と水電解装置を組み合わせたエネルギーシステムにて、高精度な天候予測技術を用いて、電力価格および電力CO2排出原単位の時間変動を予測して最適化制御する蓄電・水素エネルギーマネジメントシステム(BHS : Battery-Hydrogen energy management System)を開発しました。
  • 本成果は、水素を単なるエネルギーキャリアから「需給調整と価値創出とを同時に担う新たなエネルギー媒体」へと再定義するものであり、日本政府公式広報サイト「JapanGov」にも掲載されました。
図

 東京大学先端科学技術研究センター水素エネルギー分野の河野龍興教授の研究グループは、再生可能エネルギー由来電力を用いた水電解プロセスを利用して、グリーン水素の製造時価格を0円/Nm³以下とすることに成功しました。近年、再生可能エネルギーの大幅な導入拡大に伴って、接続する系統の安定化と余剰電力の発生が問題となっています。再エネ導入量が大きな地域では発電量が需要量を上回る時間帯に電力価格が負となる、いわゆるネガティブプライスが発生しています。一方で、グリーン水素としての要件としては、使用する電力のCO2原単位(kg-CO2/kWh)が十分に低い必要があり、ネガティブプライスと低炭素電力の時間帯は必ずしも一致しないという課題が存在していました。
 本研究では、リチウムイオン蓄電池とPEM型水電解装置を組み合わせた蓄電・水素システムにおいて、高精度な天候予測技術を利用し、電力価格および電力CO2排出原単位の時間変動を統合的に予測することで、水素製造装置の運転を最適化するBHSを開発しました。これにより、環境価値を維持しながら水素製造時価格の負値化を実現することに成功し、日本政府公式広報サイト「JapanGov」1),2) にて掲載されました。また本技術の一部は、丸紅にて推進された「豪州・インドネシア間のグリーン水素製造・輸送・利活用に関する実証事業」において活用され、CertifHy基準をクリアーするグリーン水素を初めてほぼゼロ円に近い価格で製造することに成功しました2)。これは、グリーン水素利用において最重要課題であるコスト削減への解決策を世界で初めて実証したものです。
 本研究成果は、グリーン水素を作るほど儲かる時代へと突入したことを示しており、水素は単なるエネルギーキャリアではなく、需給調整と価値創出とを同時に担う新たな統合的エネルギー媒体へと再定義するもので、エネルギーセキュリティの確保に向けた新たなパラダイムを秘めています。近い将来、再生可能エネルギーの導入量が大幅に増大し、更に蓄電池及び水電解装置の低価格化が更に進めば、水素事業の経済合理性を大きく改善することができ、その際に本技術は水素事業における重要な基盤となります。今後はAI技術も活用して更なる最適化統合制御のBHS研究を行っていきます。

参考文献

1) JAPAN GOV
https://www.japan.go.jp/topics/index.html別ウィンドウで開く
2) Driving the hydrogen society forward
https://plus.reuters.com/jco-driving-the-hydrogen-society-forward/p/1別ウィンドウで開く

 

発表者・研究者等情報

東京大学 先端科学技術研究センター
河野 龍興 教授

問合せ先

東京大学 先端科学技術研究センター
教授 河野 龍興(こうの たつおき)

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