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がん療養を支援する相談AI「ランタン」の実証研究がGENIAC-PRIZEで3位受賞
―誤情報抑制や自治体連携による社会実装を実現―

  • 受賞

2026年5月28日

 東京大学先端科学技術研究センターの山本一樹客員准教授、児玉龍彦がん・代謝プロジェクトリーダーらの研究グループは、在宅がん療養を支援する相談AIシステムの開発と実証研究を行い、その成果が経済産業省・NEDO懸賞金活用型プログラム「GENIAC-PRIZE」において、社会課題解決AIエージェント開発領域 カスタマーサポート(CS)の生産性向上部門 第3位(賞金3000万円)を受賞した。

 がんの療養は病院中心から在宅・地域へと広がり、当事者が自ら情報を探し、「治療を選ぶ」機会が増加している。しかしがんの診断・治療・ケアに関わる情報は専門性が高く、またウェブ上には宣伝まがいの信頼できない情報があふれるなど、「何を」「誰に」相談してよいかわかりにくい状況にある。
 がん療養相談支援AI「ランタン」は、がん医療・支援という高い専門性と公共性を持つ領域において、治療とケアの現場の専門家、アカデミアの研究者、生成AIの先端技術者が協力し、信頼性の高い国内外のガイドラインや専門家が監修したデータを基盤として、がん当事者に最新の信頼できる情報を伝え、専門家とつなげることを目指して開発された。
 2025年11月から全国の薬剤師を対象に実証研究を開始し、529名の回答をもとに使用性の評価を行うとともに、ハルシネーションの検出とフィードバックを通じて、誤情報をシステマティックに抑制する手法の実装を試みた。結果、重大な誤情報の発生率は低減され、一定条件下で抑制し得ることが示された。
 また2025年9月に横浜市と連携協定を締結し、自治体のがん検診や支援制度、相談窓口等の情報を統合した「よこはまランタン」を構築、377万人の市民を対象に公開し、社会実装を実現した。相談内容の分類・解析により、全国の拠点病院の相談件数上位の水準に匹敵する高頻度の利用が示されている。薬物療法や副作用、生活上の疑問など潜在的な相談ニーズを顕在化し、必要な情報や相談先に迅速につなげることで、初期相談や橋渡し機能の面でがん相談支援センターを補完しており、今後は医療機関や自治体との連携強化で情報提供の均てん化と支援の質向上への貢献が期待されている。

【受賞コメント】
 システムのプロトタイピングと当面の維持・運用を予算規模に即してリーン志向で実施した。AI利活用の公益目的での社会実装においては相応の開発費・維持費は必要ではあるものの、過度な収益性は目指すべきでなく、商業リターンを得る意図の強い投資元からの資金調達は不適当である。公的な競争的研究費も、使途や期間に制限があり、進歩の速いAI技術に継続的にキャッチアップしてゆく上では必ずしも使い勝手がよくない。一方、今回の受賞で獲得した資金は「作ったもの」を評価する懸賞金であり、受領後の活用自由度は高く、今後に続く成果の創出のために使いやすいもので、振興事業としては非常に良い試みであると感じた。在宅がん療養財団においても、是非この資金を足掛かりとして持続可能な体制を確立されたい。(山本一樹客員准教授)

  • GENIAC-PRIZE 受賞の模様
  • GENIAC-PRIZE 受賞の模様
     右: 山本一樹(東京大学先端科学技術研究センター客員准教授/株式会社シャルクス代表取締役)
    左: 渡邊清高(帝京大学医学部教授/一般財団法人在宅がん療養財団代表理事)

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