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マシンインテリジェンス分野 森友亮協力研究員が電気通信普及財団賞「テレコム学際研究学生賞 奨励賞」を受賞

  • 受賞

2022年3月25日

  • 森 友亮 協力研究員
  • マシンインテリジェンス分野 原田・椋田研究室の森友亮協力研究員が公益財団法人電気通信普及財団の2021年度電気通信普及財団賞「テレコム学際研究学生賞 奨励賞」を受賞しました。 同賞は、人文学・社会科学分野と技術分野の両分野にわたる研究において貢献した学生を表彰するものです。

    森さんが大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 博士後期課程(原田・椋田研所属)に在学中に受理された論文「Finding and Generating a Missing Part for Story Completion」が評価されました。受賞の決定は2022年3月14日に発表されました。

    【受賞した研究について】
    本研究は、創作支援への応用を目標に、ストーリ-理解・ストーリー生成の分野における新たなタスク「Missing Position Prediction (MPP)」を提案したものです。従来タスクの問題点について、プロの創作家の視点を踏まえて指摘し、それを補うための新たな提案を行ったところに独自性があります。

    ストーリーの創作は簡単なことではなく、書き手をサポートする自動システムの開発は大きな社会的意義を持ちます。近年の深層学習技術の隆盛に伴って、ストーリー理解・生成の分野において大きな進歩が生まれており、ストーリーを補完するタスク(Story Completion, Story Infilling)についても取り組みが行われています。我々は「ストーリー補完」が創作支援において大きな価値を持つと考えていますが、従来のタスクは「ストーリーのどこに不足部分があるか」をユーザーがあらかじめ知っている前提で設計されていました。しかしながら、ストーリーの書き手は、自身の文章のどこに欠陥があるかを必ずしも知っているわけではありません。書き手自身が気付いていないような「欠落」を指摘し、補うことが、実世界応用を考えた際には重要となります。

    この問題を解決するために、我々は新しいタスクとして MPP を提案しました。これは、不完全なストーリーを入力として、「ストーリーのどこに『欠落』があるか」を予測するタスクです。さらに、我々はMPPと従来のストーリー補完タスクとを組み合わせた統合的なタスクを解くための新規手法を提案し、この提案手法が有望な結果を示すことを確認しました。

    本研究は、技術的な観点のみならず、ストーリーの創作を実務として行うプロの創作家の視点を踏まえて行われました。「既存の Story Completion タスクを解けるようになっても、プロの創作家のニーズを十分に満たせないのではないか」という問題意識から本研究は出発しており、実践的な創作技法・創作プロセスなどを参考に新たなタスクを提案したところに、独自性と学際性があります。

    【受賞のコメント】
    「文系と理系の垣根を越えた領域横断の研究活動」の場である先端研での学びを、名誉ある電気通信普及財団賞、その中に新設された「テレコム学際研究学生賞」で評価していただくことができ、大変嬉しく光栄に思っております。
    この受賞を励みとして、人文・社会科学分野とシステム技術分野とを橋渡しするような、学際的研究の発展に貢献すべく、精進して参ります。

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