「2度目標は見直すべき」 日英の会議で山口特任教授が講演
- 先端研ニュース
2011年11月18日
12月初旬から南アフリカのダーバンで開催される国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)の方向性を議論する日英の会議「COP17とその先―気候変動に対処するためのグローバルアクション」(国際交流基金主催)が11月11日(金)、英国ロンドンで開かれ、先端研の山口光恒特任教授(環境経済学)が参加しました。
山口特任教授のほか、国際エネルギー機関(IEA)のシニアエネルギーアナリストのダン・ドルナー氏ら、日欧の専門家が出席して意見交換し、山口特任教授は「効果的かつ実現可能な国際的な枠組みを求めて」をテーマに講演。山口特任教授は「気温上昇を2度以内に抑えるとのいわゆる”2度目標“が格別の検証なしに広まっている。2度目標を再度見直すべきだ」と強調しました。
山口特任教授の講演発言要旨
【気候変動対策の目標として、工業化以降の気温上昇を2度以内に抑えるとのいわゆる”2度目標“が格別の検証なしに広まっており、国際交渉もこれを元に議論されている。しかし実際には2度目標には特段の科学的根拠はなく、実現可能性もほとんどないものである。たとえば、2度目標達成の要件として2050年の世界のCO2排出量を2000年比50%削減する必要があるが、仮に先進国の一人あたり排出量を11tから2.2tに80%減らしても、途上国では現在の2.6tから1.1tに58%減らす必要がある。中国の一人あたり排出量は既に5tであり、途上国全体としてもこれは不可能である。また、GDPを減らさずに排出量を5割減らすには技術進歩率が2050年まで毎年4%を続ける必要があるが、過去最高は1981年の2.9%で、かつ最近8年間は0.1%という中で、これは不可能である】

気候変動問題に関する日英の会議がロンドンで開かれ
山口光恒特任教授(中央奥)が講演した

会議と併せて開催された一般者向けセミナーでも
講演した山口光恒特任教授
山口特任教授のほか、国際エネルギー機関(IEA)のシニアエネルギーアナリストのダン・ドルナー氏ら、日欧の専門家が出席して意見交換し、山口特任教授は「効果的かつ実現可能な国際的な枠組みを求めて」をテーマに講演。山口特任教授は「気温上昇を2度以内に抑えるとのいわゆる”2度目標“が格別の検証なしに広まっている。2度目標を再度見直すべきだ」と強調しました。
山口特任教授の講演発言要旨
【気候変動対策の目標として、工業化以降の気温上昇を2度以内に抑えるとのいわゆる”2度目標“が格別の検証なしに広まっており、国際交渉もこれを元に議論されている。しかし実際には2度目標には特段の科学的根拠はなく、実現可能性もほとんどないものである。たとえば、2度目標達成の要件として2050年の世界のCO2排出量を2000年比50%削減する必要があるが、仮に先進国の一人あたり排出量を11tから2.2tに80%減らしても、途上国では現在の2.6tから1.1tに58%減らす必要がある。中国の一人あたり排出量は既に5tであり、途上国全体としてもこれは不可能である。また、GDPを減らさずに排出量を5割減らすには技術進歩率が2050年まで毎年4%を続ける必要があるが、過去最高は1981年の2.9%で、かつ最近8年間は0.1%という中で、これは不可能である】

気候変動問題に関する日英の会議がロンドンで開かれ
山口光恒特任教授(中央奥)が講演した

会議と併せて開催された一般者向けセミナーでも
講演した山口光恒特任教授