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市民参加型まちづくりの可能性

研究内容 市民参加型まちづくりの可能性 都市環境システム 教授 大西 隆 先端まちづくり学校ディレクター

筆者の属する都市環境システム分野では、戦略的研究拠点プロジェクトとして「先端まちづくり学校」を運営してきました。第一回目の2002年3月から、4年間でシンポジウム2回を含み合計12回のイベントを開催しています。イベントの中心となったのは、セミナー形式のまちづくり学校です。

まちづくりへの関心の高さを実感

  • 大西先生の写真
  • 当初は、先端研までどれだけの受講生が来てくれるかわからず、大学を出て町で開催しようとか、できるだけ多くの受講生を集めて盛大に開催しようとか、いろいろと考えました。開催してみると、まちづくりに関心を持つ人は多く、やや都心から離れた先端研でも、全国から断らなければならないほど多くの人が参加してくれることが分かってきました。最近は、開催場所は先端研、募集人数も質疑応答や懇親会が盛り上がる100人弱程度という形におさまっています。

「都市計画」から「まちづくり」へ

  • 授業の様子
  • 「まちづくり」って何でしょう。一言で言えば、都市の環境を住みやすいように整えていくことを指すのでしょう。プロジェクトの最後に行ったシンポジウム(2006年3月)で基調講演をお願いした、米国人ジャーナリストのRoberta Gratzさんは、似たような概念を“Urban Husbandry”と表現しています。これは、「都市の人工的な環境を手入れし、運営し、保存することを意味すること」と述べています(”The Living City” Roberta Brandes Gratz, p147)。学問分野の名称にもなっている「都市計画」という語が、行政事務としての用語と深く結びついて、制度論的な研究が中心となってきたのに対して、「まちづくり」は日本でも、アメリカでも、居住空間を様々に手入れする市民参加型の活動を含む、より幅広い概念を持つとされてきました。そこで、我々のまちづくり学校は「市民参加型まちづくり」と、「まちづくりのマネージメント」を二つの主題として展開することにしました。前者は、市民参加と合意形成や行政と市民の協働などを含み、後者はまちづくりにおける民営化、民間活力の活用、受益者負担制度の導入などを含んでいます。いずれも、都市行政や市民のまちづくり活動などのホットなテーマを扱っており、そのことはまちづくり学校での活発な質疑応答にも表れていると思います。

まちづくり学校の本格運営へ

  • 授業の様子
  • さて、戦略的研究拠点が終了し、このプロジェクトをいかに発展させていくか。基本的には2つの方向が考えられるでしょう。ひとつは、行政主導から市民と民間の協働重視のまちづくりに係る人材育成のためにまちづくり学校を本格的に運営すること、そしてもうひとつは、まちづくり学校の体験を通して実感できた期待される研究分野を掘り下げて、研究的に今後のまちづくりに貢献することです。後者が先端研における我々の分野のミッションであることは言を待ちませんが、前者についても、東大内外の同様の動きに協力して、成果を継承していきたいと考えています。

原稿は大西隆教授が執筆

(2006年2月1日)

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