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研究について

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だれでもムービーディレクター

研究内容 だれでもムービーディレクター 応用情報工学 講師 青木 輝勝

いまから10年以上前、ソフトウェアの設計に取りくんでいた大学院生のころに、はじめてインターネットに接続してみた。そのときの印象が強く残っている。「がっかりしたんです」。テレビできれいな映像を見慣れているのに、インターネットは文字がただ並んでいるだけだった。以来、ウェブの世界をさらにヴィジュアル化したいと考えてきた。

ボトムアップのコンテンツ制作

現在はコンテンツ流通に関わる研究を幅広く進めている。「つくるところから見るところまで」――デジタルコンテンツの、制作、編集、蓄積、検索、配信、管理、保護、表示など、いくつもの研究が同時に進行しているが、その一環したコンセプトは「動画像をテキストデータと同程度に手軽に、かつ、思い通りに扱えるようにしたい」ということである。現在、動画像を制作するのは、単にシナリオのみを制作する場合と比較して1000倍以上のコストを要するし、配信するためにも1000倍以上の容量を必要とする。また、必要な動画像を検索しようと思ってもテキスト検索と比較すると正確性の面で全く比較にならない程度の精度しか実現していないのである。

これらの研究のうち、コンテンツの「制作」段階での試みが、「デジタルムービーディレクター」(DMD)の開発である。このDMDはS(主語)、V(述語)、O(目的語)を入力することにより個人で簡単にCG映画が制作できてしまうというシステム(図1)。人物や背景、音楽などの素材が用意され、それを組み合わせながらいつの間にか映像ができあがっていく。

基本的な発想は、現在の映像制作のように、まずシナリオ、絵コンテを完成させてからコンテンツを制作してゆくというトップダウン型ではなく、ボトムアップ型のコンテンツ制作。シーンをひとつ作るごとに再生して確認しながら進めていくことができ、そのなかで発想が広がっていく。

思いつくままに「だれが、なにを、なにに、どうした」などの動作と、あとは台詞を入力するだけでいい。さらに凝るならカメラワークや効果音の工夫もできる。そしてシナリオを再生させるとすぐにムービーが始まる。音楽が流れ台詞は自動読み上げの音声で。

このシステムによって、本格的な作品をつくる前のコンセプトの共有や、投資家などへの説明が容易になるだろうし、多くの人が映像の発信ができるようになる。

図1:ムービー塾の基本画面

だれでもクリエーター

2005年の10月から月に1回程度、高校生を中心に「ムービー塾」を開催し、毎回彼らの発想に驚かされている(図2)。生徒たちは制作そのものをとても楽しんでくれていて、90%近い生徒が「また参加したい」とアンケートに回答するなど満足度も非常に高いという。

図2:ムービー塾の様子

朝10時から夕方5時半まで丸一日のスケジュール。映像の基本講義と、演出やシーン設定などのDMDの実習のあとに、ひとりひとりが作品制作に取りくむ。作品制作はたった2時間。しかしウェブに公開された作品をみると、完成度は高い。

高校生の作品で、このシステムの特徴をよく表すものができた(図3:第2回ムービー塾作品「FRIEND」より)。
とある教室でのやりとり。
「実はジャニーズになりたいんだ!!」
と言ってさまざまな芸を披露する友だちに対しての最後の一言。
「声がなまってたらジャニーズになれないよ。」
自動読み上げソフトはまだまだ流暢ではないのである。こうした台詞は、実際のムービーがどうなるかを見ながら作業をしたからこそ思いついたもので、はじめからシナリオと絵コンテを考えなくても制作が楽しめる顕著な例と言えるだろう。

図3:作品例

「どんな分野でも、アマとプロの境はあいまいになったほうがいいと思います」。近々このシステムをウェブからダウンロードできるよう準備をしている最中である。

インタビュアー:住田朋久

(2006年1月23日)

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