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マクロ経済学分野 藤原研究室

経済を「システム」として捉える

経済を単なる数値の集まりではなく、複雑に絡み合った「システム」として捉えることに努めています。その中で、景気変動がなぜ起こるのか、どのような要因が背景にあるのかを探り、それに対してどのような政策が適切なのかを考えています。
経済の動きの裏側には、さまざまな要素が複雑に影響しあっています。そのため、こうした要素を総合的に理解しなければ、効果的な政策を打ち出すことはできません。たとえば、「円安は日本経済にとって良いことなのか、悪いことなのか」といった議論をする際にも、円安がどのような原因で起きているのかを把握しなければ、正確な判断や政策提言はできません。さらに、政策が経済に与える影響を考える際には、「政策が経済に影響を与える」だけでなく、「経済の状況が政策に影響を与える」といった双方向の関係も重要です。このような複雑な関係性があるため、単に統計データを分析するだけでは、政策の効果を十分に評価することはできません。
現在注力している研究テーマとして以下の二つがあります。

1.国際金融が産業構造とマクロ経済に与える影響

過去10年間の円の名目為替レートは、ドルに対して2倍以上減価しました。これは、最終消費市場において、製造業や輸出企業の競争力を高めた一方、輸入コストの増大を通じて、中間財や輸入消費財の価格は上昇し、交易条件を悪化させています。為替相場変動は、マクロ経済に多大な影響を与えていると考えられます。
(1)長期的な実質為替の決定要因、(2)グローバル化のもとで長期的に産業構造を変遷させるメカニズム、(3)為替変動が産業構造およびマクロ経済に及ぼす影響、を解明したいと考えています。

Figure8

Figure8:Model with observed productivities in traded and non-traded sectors and an endogenous trades sector wedge

Source: Devereux, Fujiwara and Granados, 2025,“ Productivity and Wedges: Economic Convergence and the Real Exchange Rate.”

2.構造変化と日本経済の行方

経済が発展していく過程では、産業の構成が大きく変化していきます。経済の成長とともに農業の比重が下がり、製造業やサービス業が拡大していきます。そしてさらに進んだ段階では、製造業も縮小し、サービス業が中心となっていく、という流れが観察されます。こうした現象は構造変化と呼ばれます。
しかし、このパターンは国によって異なります。たとえば、日本やドイツのような先進国では、サービス業が拡大してもなお製造業の割合が高く保たれています。一方で、インドのような新興国では、製造業が十分に成長しないうちにサービス業が急速に拡大するケースもみられます。
私の研究では、こうした国ごとの違いがなぜ生まれるのか、その要因を明らかにしようとしています。これにより、日本の産業構造の将来展望が可能となり、適切な産業政策の立案に貢献できると考えています。

Figure2

Figure2.PREMATURE DEINDUSTRIALIZATION UNDER THE BAUMOL EFFECT:NUMERICAL ILLUSTRATION

Source: Fujiwara and Matsuyama, 2024,“ A Technology-Gap Model of Premature Deindustrialization.” American Economic Review.

ミニコラム
当たり前だと思っていることが、実は正しくないかもしれないということが多々あります。例えば、「インフレ率の上昇に対し、中央銀行が金利を引き上げる」と聞いて疑問に思う人は少ないと思います。同時に、「インフレ率が上昇すると金利は上昇する。すなわち、名目金利=実質金利+インフレ率」という説明もすんなりと入ってきます。しかし、2 つを合わせると混乱してしまいます。名目金利を引き上げるとインフレ率が上昇してしまいそうに思えるからです。恥ずかしながら、私も日銀に入行した当初これを理解することができませんでした。こうした単純なことであっても、実は、価格の粘着性を考えた経済全体のシステム(動学一般均衡モデル)の中で考える必要があるのです。よりよい政策のためには、経済をシステムとして捉えることは極めて有益だと思っています。

メンバー

  • 藤原 一平 客員教授
  • 専門分野:マクロ経済学・国際金融

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