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附属エネルギー国際安全保障機構(エネルギー戦略分野)
橋本研究室

エネルギー・トランジション時代の新しい価値創造

エネルギーの地政学

  •  2015年のパリ協定締結以降、世界中で脱炭素化の流れが加速している。2050年カーボンニュートラルの実現を目指して、旧来型の化石燃料の使用を再生可能エネルギー等のクリーンエネルギーに置き換えるエネルギートランジションが進行中である。そのような中、2022年2月にロシアのウクライナ侵攻や2026年2月の米国・イスラエルによるイラン攻撃など、エネルギーの安定供給を脅かす事態が生じている。脱炭素化の時代にエネルギーの安全保障をいかに確保していくのか?脱炭素化がエネルギーを巡る国際政治をどう変えていくのか?エネルギー国際安全保障機構は、文系と理系が共生する先端研の特徴を活かし、エネルギー科学の専門家と地政学の専門家が一緒になってこの問題に取り組み、今後の進むべき道をまとめました。その成果を2026年7月に「エネルギーの地政学(エネルギートランジションと日本の戦略)」という書籍として刊行しました。多くの方々に読んでいただき、現在進行中のエネルギートランジションとエネルギー安全保障について考えるきっかけにしていただければと考えています。

水素サプライチェーンの技術経済的分析と付加価値の創造

  •  燃焼してもCO2を排出しない水素。脱炭素化を進める切り札として期待されています。海外の豊富な再生可能エネルギーで水素を製造し、日本に輸送してクリーンに使う水素サプライチェーン構築が計画されていますが、水素コストの高さが普及の妨げとなっています。水素はなぜ高いのか?どうすればコストを下げることができるのか?世界中の研究機関が水素サプライチェーンを技術経済的に分析し、その構造を探っています。当研究室では、国際エネルギー機関の協力プログラムを通じて諸外国のコスト分析モデルを持ち寄り、相互に比較・分析することでコスト構造への理解を深め、水素コストを大幅に下げる方策を模索する国際プロジェクト(IEA H2TCP Task 50 International Cooperation on Cost and Carbon Intensity Analysis Models Comparison)を主宰しています。またコストを下げるだけでなく、水素が持つ環境価値など様々な価値を評価し、需要家の支払い意思(Willingness-to-pay)をも考慮して、需要家側からの視点で水素の導入普及策を検討する調査研究を行っています。

UT Ocean Awareness

  •  海洋国家ニッポン、と言いながら実は海とは縁遠い生活を送っていませんか?豊かな自然、多種多様な海の幸、膨大なエネルギー資源など、日々の生活を、心を豊かにしてくれる海と我々の関係をもう一度温め直したい、そういう思いから生産技術研究所DLX Design Labと連携してUT Ocean Awarenessという活動を始めました。その第1弾として、「洋上風力や潮流エネルギーなどの海洋由来の再生可能エネルギーを使っていかに街を元気にしていくか?」をテーマに高校生とワークショップを行いました。また、クリーンエネルギーを使ったボートレースであるMonaco Energy Boat Challengeに参加し展示を行いました。これからも、先端研のエネルギー・海洋に関する知見と生産研のデザインの力を掛け合わせて、我々と海との関係を若者と一緒に考える活動を行っていきます。
ミニコラム
水素コストの分析は世界中の研究機関が取り組んでいます。経済モデルを使ったコスト分析では、条件の設定や見通しのちょっとした違いで結果が大きく変わります。これは計算を行うモデラーの考え方の違いにも依るところがあり(私は「モデラーの信念」と呼んでます)、同じ計算モデル・データを使っても計算結果が異なったり、時には逆の結果が出たりすることがあります。そこで各国の水素コスト分析モデルを集めて比較することで、世界中のモデラーの信念を見える化しようというプロジェクトが国際エネルギー機関(IEA)の水素技術協力プログラム(H2TCP)で始まりました。各国のモデルを比較し、共通部分や違いを精査していくことでコスト構造を精緻に理解することができ、水素普及の課題であるコストの大幅削減を実現できる方策を提言できると考えています。このプロジェクトは日本が提案して実現したもので、私たちも参加しています。

メンバー

  • 橋本 道雄 教授
  • 専門分野:エネルギー政策、再生可能エネルギー、水素
石本 祐樹 特任准教授

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