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研究の価値をビジュアルで伝える 生物医化学系ラボ専属のデザイナー 安藤 律子さん

  • 安藤 律子

    「すべてが面白くて、毎日わくわくしています。研究の役に立てることがうれしい。もっと研究をわかりやすく伝えるにはどうしたらいいかと私も日々研究中です」

  • 安藤 律子 さん 大澤研究室(ニュートリオミクス・腫瘍学分野) アートデザイナー

    愛知県出身。名古屋大学文学部史学科卒業。旅行会社勤務後、渡米。ロサンゼルスの設計・都市デザイン会社The JERDE Partnershipで働きながら、UCLA Extensionでデザインを学ぶ。帰国後、インテリアデザイン事務所でのグラフィックデザイナーを経てフリーに。2018年11月より学術支援専門職員(短時間)として勤務。

    先端研初・ラボ専属でサイエンスイラストレーションを描く。新しい栄養学の視点から新規がん治療法の開発を目指す大澤研究室で、安藤さんは生物・医学論文のグラフィックス全般を担当。無機質な模式図も安藤さんの手で作用が一目でわかる“生きた絵”になる。「研究内容を一枚の絵で一気に伝えられるかという勝負。それが私のやるべき仕事です」。サイエンスイラストレーションは、見る人の理解を助け、研究の価値を伝え、関心を持たせる。米国やカナダでは、サイエンスイラストレーター養成の専門コースを置く大学もある。一方、日本では大学などでの専門教育はなく、仕事自体がほとんど知られていない。

    安藤さんがサイエンスイラストレーションという分野を知ったのは、米国。LAの設計会社でアシスタントをしていた安藤さんの絵を見た同僚の勧めで、UCLAのエクステンションセンターに通いデザインを学んだ。「その頃に出会ったのが、現在メディカルイラストレーターとして制作活動をしている主人でした。私はグラフィックデザインが専門ですが、いつも身近にサイエンスイラストレーションがあります」。帰国後はグラフィックデザイナーとして働き、フリーへ。昨年、知人の紹介で大澤研究室の秘書面接に行くも、他の人に決まったところだった。「大澤先生が面接用のポートフォリオを見て、『絵を描ける人を待っていた!』とおっしゃって。私も、是非!とお返事しました」。大澤毅特任准教授が留学した英国には専属のデザイナーがいるラボも数多くあった。今や医学系のラボに情報系の人が在籍するのは当たり前のように、サイエンスイラストレーターもラボにいるべきだと、大澤特任准教授は考えている。安藤さんの職名は学術支援専門職員だが、渡された名刺にはアートデザイナーとあった。安藤さんは「アートデザイナーのアートは、芸術というよりはむしろ専門技術という意味だと理解しています」と話す。

    海外の研究発表のビジュアルは、日本よりはるかに高水準だという。現在は論文で使うイラストの外注も増えているが、やり取りに時間がかかる、高額の割に望む絵ができないなどの理由で、研究者や学生が慣れないソフトで作成する実情がある。フリー素材も欲しい絵を見つけるのは一苦労だ。「研究発表や資料の絵作りのために、貴重な研究時間を使ってほしくない。研究が実用化すれば、がんと闘う多くの人を助けられます。絵はその分野の者に任せればいい」。研究室にいる安藤さんは、研究内容や進行状況を把握しながら、この図のどこが重要かという意図を反映した絵を作ることができる。「知識のハンデはありますが、対象者や目的に合わせて理解しやすい見せ方を提案できます。大澤先生とは、学生向けのワークショップなどもできたら、と話しています。何より私自身、この職種がラボに必要だと認められる活動をしていきたいと思っています」。

    (広報誌『RCAST NEWS』109号掲載)

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