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過去を知り、今を理解し、未来へ 岡島 悟さん

  • 岡島悟さん

    大学時代はボウリング部に所属し、最高スコアは290。「刻々と変わるレーンの状況にあわせて投げる軌道を考える所が楽しかったです」

  • 岡島 悟さん 中村研究室(気候変動科学分野)助教

    おかじま さとる 兵庫県出身。2008年東京大学教養学部理科一類入学、2012年卒業。2014年東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻修士課程修了、2020年3月同博士課程修了。博士(理学)。東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同特任助教等を経て2022年8月より現職。

    14歳で気象予報士資格を取得。「物理や数学などの内容は一部大学レベルであるものの、必要な部分だけ勉強し、中学1年生の時に半年間の講習会に通い、ひたすら天気図に親しんで触れていました」。当時、最年少の気象予報士資格取得者として取材を受け、テレビ番組制作の様子を見学する機会があった。テレビで活躍する気象予報士ではなく研究者を目指したのは、気象・気候の現象を深く理解する研究職が自分に合っていると思ったからだ。

    「小学生の頃は、ラジオの天気予報を聞いて、天気図を描いたり、新聞の天気図を切り抜いて集めたりしていました。天気図は、現実に起こっている現象を一つの図の中で理解できる所が面白いです。鉄道好きなかたが時刻表を眺めるのが好きなのと一緒で、自分の手の中にある情報を集約し、ストーリーを完結させることができる。こんな天気図があったらいいな…と想像して作ることもありました」

    現在所属している研究室は、科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」共創分野(本格型)のプロジェクトに採択された。プロジェクトが掲げる「地域気象データと先端学術による戦略的社会共創拠点(ClimCORE)」として、気候変動、異常気象を読み解き、学術がけん引する共創社会を目指して戦略的研究が進んでいる。

    岡島助教は日本をはじめとする中緯度地域にある移動性高低気圧の活動について研究している。それらの活動は日々の天気の変化をもたらしているが、特に季節によってどのように変化するかに注目している。「過去の気象データや将来の予測シミュレーションデータの解析により、物理的に理解できる特徴やパターンを取り出します。それによって気温、風、気圧、湿度などの様々な気象要素の変化を説明できます。季節性や変動のパターンは地域によっても異なるので、日本などを含む地図上に図を描き、空間的な分布にも着目しています」

    気象が人体へ与える影響についても興味を持っている。「生命科学分野と共同研究を行うことで、気象の予測モデルを疾病や感染症の予測モデルにもっと活かせるかもしれません。将来は、気象と生命の関連性を新しい観点から解き明かしたいです。分野横断的な研究を行えるのは、先端研ならではの特徴です」

    気象は一般の人々にとって身近であるからこそ、気候変動などについて物理的に理解可能な正しい情報を提供することを目指している。「過去を知り、今を理解し、未来へつなげたい」という思いが、次の世代に向けた教育活動を行う原動力だ。気象の全地球データを立体的に可視化したペーパークラフトを使ってイベントも行った。

    家では料理担当で、野菜の作り置きやシチュー、煮物などが得意料理だという。「気分転換は、鉄道好きで製薬会社の研究者である妻と情報や意見を交換することです。製薬など他分野についていろいろ知ることができて高め合えるのは幸せです」。夫婦の談議は続くよ、どこまでも…。

    (2022年 7月)

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