構造生命科学分野 西増研究室
多様なタンパク質・核酸の構造と機能の理解、そして、革新技術の開発
タンパク質・核酸分子を視て理解し改造する
タンパク質や核酸(DNA・RNA)は多岐にわたる生命現象に関与しています。通常のタンパク質は特定の基質に「鍵と鍵穴」のように結合し作用するのに対し、ある種のタンパク質はRNAと複合体を形成し、RNAが標的となる核酸の特異性を決めています。たとえば、原核生物のCRISPR-Cas獲得免疫システムに関与するCas9タンパク質はガイドRNAと複合体を形成し、ガイドRNAと相補的な2本鎖DNAを切断するというユニークな機能をもちます。したがって、Cas9はゲノム編集をはじめとするさまざまな革新技術に応用されてきました。わたしたちは、Cas9やCas12、Cas7-11をはじめとする様々なタンパク質-核酸複合体の立体構造を決定し、それらがはたらく分子機構を解明してきました。さらに、構造情報をもとにタンパク質やRNAを改造することにより、新しいゲノム編集ツールの開発にも成功してきました。わたしたちは、生化学的解析、X線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡解析、一分子観察などの研究手法を組み合わせることにより、多様なタンパク質や核酸がはたらくしくみを明らかにし、生命現象を根底から理解し、そして、新しいテクノロジーの開発につなげたいと考えています。さらに、まだ発見されずに眠っている新規酵素の探索にも挑戦し、その構造と機能の理解を目指しています。
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CRISPR-Cas9の結晶構造
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CRISPR-Cas7-11のクライオ電子顕微鏡構造
- 西増研究室
昔からプロレスや格闘技が好きで、大学時代は少林寺拳法部に所属し、大学院生のときはキックボクシングのジムに通っていました。 さらに、研究者になってからは近くにボクシングジムがあったので、ボクシングをはじめました。何事も追求したい性格なので、せっ かくやるならということで、2012 年にはプロライセンスも取得しました。ボクシングはストレス解消にもなりますし、そこで得た肉 体的、精神的な強さは研究にも活かされています。この10 年で想像以上の技術革新が起こり、不可能だった研究が可能になってきま した。また、技術革新のスピードも年々加速しているため、10 年後の研究を予測するのは難しいところです。これまでの研究を通じて、タンパク質や核酸の分子構造を詳しく調べたり、機能を改変したりする技術は自分の強みであることがわかってきました。今後は、これらの強みを活かしつつ、新しい技術を柔軟に取り入れ、興味の赴くままに研究を続けていきたいと考えています。
メンバー
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- 西増 弘志 教授
専門分野:構造生物学
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