構造生命科学分野 西増研究室
多様なタンパク質・核酸の構造と機能の理解、そして、革新技術の開発
タンパク質・核酸分子を視て理解し改造する
タンパク質や核酸(DNA・RNA)は多岐にわたる生命現象に関与しています。通常のタンパク質は特定の基質に「鍵と鍵穴」のように結合し作用するのに対し、ある種のタンパク質はRNAと複合体を形成し、RNAが標的となる核酸の特異性を決めています。たとえば、原核生物のCRISPR-Cas獲得免疫システムに関与するCas9タンパク質はガイドRNAと複合体を形成し、ガイドRNAと相補的な2本鎖DNAを切断するというユニークな機能をもちます。したがって、CRISPR-Cas9はゲノム編集をはじめとするさまざまな革新技術に応用されてきました。わたしたちはCRISPR-Cas9やCRISPR-Cas12aなどさまざまなタンパク質-核酸複合体の立体構造を決定し、それらがはたらく分子機構を解明してきました。さらに、構造情報をもとにタンパク質やRNAを改造することにより、新しいゲノム編集ツールの開発にも成功してきました。わたしたちは、生化学的解析、X線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡解析、一分子観察などの研究手法を組み合わせることにより、多様なタンパク質や核酸がはたらくしくみを明らかにし、生命現象を根底から理解し、そして、新しいテクノロジーの開発につなげたいと考えています。さらに、まだ発見されずに眠っている新規酵素の探索にも挑戦し、その構造と機能の理解を目指しています。
CRISPR-Cas9の結晶構造
CRISPR-Cas12aの結晶構造
西増研究室
メンバー
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- 西増 弘志 教授
専門分野:生化学、構造生物学
<2022年4月現在>
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