研究者一覧

- フェローFellow
- 近藤 豊KONDO Yutaka
- 先端研フェロー
- kondo.yutaka.bc
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略歴
1977年 4月 | 東京大学大学院理学系研究科博士 |
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1989年 4月 | 名古屋大学空電研究所助教授 |
1990年 4 月 | 名古屋大学太陽地球環境研究所助教授 |
1992年 4月 | 名古屋大学太陽地球環境研究所教授 |
2000年 4月 | 東京大学先端科学技術研究センター教授 |
2011年 4月 | 東京大学理学系研究科教授 |
2015年 4月 | 国立極地研究所特任教授 |
2015年 5月 | 東京大学名誉教授 |
研究分野
人間活動による地球規模での大気化学組成の変化は、大気環境と気候システムに大きな影響を与えている。私は、人類の生存に必要な環境要素である大気オゾンと地球の気候システムに大きな影響を与えるエアロゾルの動態や変動要因の解明を長年にわたり行ってきた。先端的な測定装置による観測を実施し、人間活動が大気環境に影響を与える過程の鍵となる化学・物理過程の解明を行ってきた。近年は北極におけるエアロゾルの気候影響に関する研究を中心に進めてきた。これらの研究の多くは、アメリカのNOAA(アメリカ海洋大気庁)及びNASAなどとの緊密な国際共同研究として行われた。
エアロゾルは太陽光を散乱・吸収し、雲の特性を変えることで地球の放射エネルギー収支に影響を与える。無機・有機物からなるエアロゾルは光を散乱し冷却効果がある一方、炭素燃料の不完全燃焼により生じる黒色のブラックカーボン(BC)は太陽光を強く吸収し加熱効果がある。エアロゾル全体としては冷却効果があるため、短寿命のエアロゾルと長寿命の二酸化炭素の排出シナリオによっては、エアロゾルの低下は温暖化を加速する。私は、冷却・加熱の効果があるエアロゾルの濃度分布を高精度で測定することに大きな成功を収めた。これは、気候システムモデルによりエアロゾルの気候影響を高精度で推定するための鍵となる重要な成果である。
もし地球温暖化を緩和する温室効果ガスの削減が十分な速さで進まない場合、気候危機が生じる可能性は排除できない。それに備えるためエアロゾルを人為的に散布して地球を冷却する太陽放射管理(SRM)を目指す大型研究がNOAAを中心に進みつつある。私は先端研フェローとして東大先端研とNOAAとの緊密な連携を推進し、SRMを含めた気候変動科学の知見を広く国内外に普及させていきたい。この活動が将来の気候リスクを最小限するために必要だからである。
受賞
- 1986年10月 田中館賞(日本地球電磁気学会)
- 1990年10月 堀内賞(日本気象学会)
- 2001年 5月 気象学会賞(日本気象学会)
- 2009年 5月 アメリカ地球物理学連合Fellow
- 2012年11月 紫綬褒章
- 2012年12月 三宅賞(日本地球惑星科学連合)
- 2013年 5月 藤原賞(日本気象学会)
- 2014年 3月 東レ科学技術賞
- 2014年 5月 日本地球惑星科学連合Fellow
- 2015年 6月 日本学士院賞
- 2023年 4月 瑞宝中綬章
キーワード
気候変動、エアロゾル科学、太陽放射管理