研究者一覧
- 教授Professor
- 為末 大TAMESUE Dai
- 附属包摂社会共創機構
- daitamesue
g.ecc.u-tokyo.ac.jp
略歴
| 2001年 4月 | 大阪ガス株式会社 |
|---|---|
| 2003年 5月 | プロ陸上選手 |
| 2010年 8月 | 一般社団法人アスリートソサエティ 代表理事 |
| 2015年 3月 | ブータン王国オリンピック委員会 スポーツ親善大使 |
| 2015年 4月 | 東京大学未来ビジョン研究センター アドバイザリーボード |
| 2018年 7月 | 株式会社Deportare Partners 代表取締役 |
| 2022年 6月 | 株式会社ゴールドウイン 取締役 |
| 2022年 9月 | 公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) 監事 |
| 2024年 9月 | 一般社団法人日本承継寄付協会(Will for Japan) 理事 |
| 2026年 4月 | 東京大学先端科学技術研究センター 教授 |
研究分野
スポーツの語源Deportareは「憂さ晴らし」や「遊び」を意味し、その原義には競争から自然環境に身を投じる営みまで幅があった。本研究室ではスポーツを「身体と環境の間で遊ぶこと」と定義する。
近代以降、心を頭蓋内に閉じた脳中心の人間観が支配的であり続けたが、本研究室は自己を所与の実体ではなく、身体と環境の間に都度生成する出来事として再定位する。ユクスキュルが環世界と名付けたように、生物は自らにとって重要な対象へ注意を向ける傾向をもち、知覚には勾配がある。人間においては社会的文脈が環世界に組み込まれることで、意味の勾配は複雑に固着し、言語的・意志的介入では崩れにくく作動し続ける。この勾配は情報量を絞り込み知覚と行動を効率化する一方で、主体にとっての世界に一定の歪みをもたらす。勾配こそが人の個性を生み出すと同時に、偏見や可能性の狭さをも生んでいる。しかも勾配は無意識下で作動するため、意識的介入は難しい。
身体を通じてあそぶことで、人間は環境と新しい関係を結び直すことができる。あそびとは不確実な世界への没入であり、固着した意味の勾配から一時的に離れる営みであって、その離脱が固定化を弛める効果をもつ。そこで得られる体験と学びが、人間と環境、人間と人間の関係を変えうる。あそびによって世界の構造を固定化させないことが、結果として世界を柔らかく包摂的に向かわせるのではないか。
研究室ではこの仮説を、アスリート・障害のある人・子どもを対象に、リアルワールドの身体データを通じて検証する。あそびを通じて社会的文脈から放たれる回路が開かれるならば、あそびは包摂の実践的基盤となりうる。動きから人間を理解することで、能力・障害・年齢を超えた共通の人間的経験を明らかにし、多様な人々が共に生きる社会の原理を問い直す。
キーワード
あそび、身体知、移動知、熟達、包摂、アダプテッドスポーツ、スポーツ哲学

