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13号館に車いす用の昇降機を設置

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2023年1月10日

2022年12月、13号館正面西側の地下につながる階段に車いす利用者のための昇降機が設置されました。同月23日にはお披露目会が開かれ、杉山正和所長、当事者研究分野の熊谷晋一郎准教授、インクルーシブデザインラボラトリーの並木重宏准教授、昇降機を開発した大同工業(石川県加賀市)の関係者が集まりました。

本事業は2019年、先端研の研究者と石川県企業との共同研究を、先端研・石川県・公益財団法人石川県産業創出支援機構が共同で支援する「東京大学先端科学技術研究センター共同研究創出支援事業」に採択され、スタートしました。

設置された昇降機は運転ボタンの位置や手すりの高さなどを追究し、車いす利用者が介助者なしで乗れるように設計されています。できる限り雨が降り込まないよう屋根の部分はひさしを延ばすなどの工夫が施され、国の登録有形文化財である13号館に調和した色合いになっています。お披露目会で試乗した熊谷准教授は乗り心地について「最高ですね」、並木准教授からは「かっこいいです」と声が上がりました。

【関係者からのコメント】

先端アートデザイン分野 特任教授 伊藤 節
本昇降機プロジェクトは本学のインクルーシブキャンパス環境整備プロジェクトとして石川県、石川県企業である大同工業、先端研のバリアフリー分野、先端アートデザイン分野が共同し、昇降機を使用する当事者とデザイナー、開発業社がプロジェクト初期から協力し合うインクルーシブデザイン的な手法でデザイン開発したものです。バリアフリー領域から熊谷晋一郎准教授、並木重宏准教授と協力研究員チーム、先端アートデザイン分野から私と伊藤志信特任准教授が参加して共同でデザイン研究開発を行いました。

デザインの機能性については、車椅子を利用する研究者によるユーザビリティ評価を最大限に尊重した実験開発を行いました。外観デザインにおいても利用者の心理を考慮し、機能的かつ設置環境に調和した形状、素材、色彩の提案を行い、利用当事者の評価を優先して開発を進めました。設置される先端研13号館という歴史的建造物の一角に溶け込むように、13号館の建築思想である19~20世紀の欧州建築と日本の社寺建築の折衷思想を踏襲したデザインを行い、本学のキャンパス計画室にも審議頂きました。幾度かのデザイン設計変更、開発チームの努力の末ようやく完成をみましたが、これから実際に利用していく過程での評価を通して次のインクルーシブデザイン研究開発に生かしていきたいと思います。

当事者研究分野 准教授 熊谷 晋一郎
2019年頃から準備を進めてきた昇降機がついに完成しました。振り返ると、利用者のニーズ、歴史的建造物との調和、安全性など、いくつもの条件を丁寧に検討したプロセス自体が、まさにインクルーシブデザインと呼ぶにふさわしい好事例だったと感じています。異なる基準を擦り合わせるこの過程は、異なる専門性をもつ方々の粘り強い対話を必要とするものでした。この事業に関わってくださった全ての皆さまに対し、心よりの感謝を述べたいと思います。

インクルーシブデザインラボラトリー 准教授 並木 重宏
階段昇降機の竣工、おめでとうございます。今回の取組には、他の車椅子利用者とともに、昇降機本体や操作盤などのデザインに関するアイデアを出すユーザーとして、設計の最初の段階から参加させていただきました。13号館が文化財であるということもあり、設置にはさまざまな課題がありましたが、今回の事例が、観光施設など各地のバリアフリーにつながることを願っています。

経営戦略企画室 産学官連携協力員 松田 稜平(石川県派遣)
石川県と先端研の連携事業が、熊谷先生・並木先生と石川県企業の大同工業の共同研究に繋がり、キャンパス内に階段昇降機を設置するという形で実を結びました。設置には様々な課題がありましたが、伊藤節先生、伊藤志信先生、事務部の皆さんのご尽力もあり、何とか解決できました。前前任者から引き継いだ事業であり、車いすユーザーの大学における快適な環境づくりに貢献でき、非常に喜ばしいです。

並木准教授

並木准教授

熊谷准教授

熊谷准教授

  • 杉山所長、熊谷准教授、並木准教授、大同工業の谷野開発部長
  • (左から)杉山所長、熊谷准教授、並木准教授、大同工業の谷野開発部長

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