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計算物質科学分野 有田研究室

第一原理計算手法で挑む量子創発物質の探索

機能性反強磁性体の物質探索

物質中の電子はスピンという内部自由度を持ちます。このスピンが同じ方向に並んでいる物質を強磁性体、あるスピンは上、あるスピンは下、というようにスピンがお互いを打ち消し合う様に並んでいる物質を反強磁性体と呼びます。
強磁性体(磁石)は人類の文明の発展に欠かせない役割を果たしてきました。包囲磁石がなければコロンブスはアメリカを発見することなく、マゼランは世界一周をしなかったでしょう。磁石は現代のテクノロジーにおいても重要な役割を果たしています。一方、反強磁性体は磁場などの外場で制御しにくいという難点があり、テクノロジーへの応用はあまり進んでいませんでいた。ところが近年、反強磁磁性体でありながら強磁性体のような時間反転対称性を持たないという特徴を持つ物質がいくつか発見されています。そのような磁性体は応用を考える際に強磁性体にはないメリットが考えられ、興味を集めていますが、系統的な物質探索は容易な問題ではありません。
我々は第一原理計算を用いて、機能性反強磁性体の探索に取り組んでいます。

新超伝導体の物質探索

超伝導現象は物性物理学における最も興味深い現象のうちのひとつです。そのなかで最も重要な問題が、いかに超伝導転移温度を高めるか、という問題です。
20 世紀初頭、オランダの物理学者カマリング オネスが水銀でこの現象を発見してから現在に至るまで、様々な超伝導体が発見されてきました。しかしながら、理論計算で予言され、実験でその存在が確認されるという経緯をたどった物質は少なく、実験家が偶然発見した物質がほとんどでした。最近、第一原理計算手法の発展により、この磁場が大きく変わりつつあります。
我々は第一原理計算を用いて、新しい超伝導体の探索に取り組んでいます。

  • 強磁性体のような特徴をもつ反強磁性体のスピン構造の例

    強磁性体のような特徴をもつ反強磁性体のスピン構造の例

  • ほぼ室温に近い温度で超伝導転移をおこす物質の結晶構造

    ほぼ室温に近い温度で超伝導転移をおこす物質の結晶構造

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ミニコラム
神様が人類に与えた最大の贈り物は、その高い知能ではなく、好奇心だと言われています。人類は自分自身の生存とは全く関係 なく、物体の落下運動と天空の月の運動の背後にある普遍法則に思いをめぐらせました。一方で、この好奇心が産業の応用への 要求と結びついたとき、物理学が驚異的な発展を起こすことは量子力学誕生の歴史が雄弁に物語っています。
先端研計算物質科学分野の有田研究室では、非経験的で、予言能力のある最先端の第一原理計算を使って基礎学理として興味深く、 我々の好奇心を満たし、かつ応用の面でも広く社会に革新をもたらす可能性のある創発的量子物質の探索、設計を行っています。 都心にありながら緑に恵まれ、広々とした環境で研究室のメンバーがどのような日常を過ごしているかはホームページで公開しておりますので、是非ご覧ください。

メンバー

  • 有田 亮太郎 教授
  • 専門分野:物性理論
助教 渡邉 光(専門分野:物性理論)
 

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