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社会連携研究部門 共生価値のアートデザイン

隠された価値をメインストリームに昇華させるアートデザイン

 持続可能でウェルビーイングが増進される社会の構築を目指し、すべての存在は互いに依存し支え合っているという世界観を、社会の価値としてメインストリームに昇華させる新たなアートデザインの枠組みの構築を目指しています。

 たとえばグリーンエネルギーの普及促進という観点では、再生可能エネルギーの重要性は一般市民に理解されているものの、日常生活において化石エネルギーに対してグリーンエネルギーを選択するモチベーションは極めて低いのが現状です。これは、エネルギーに持続可能性の価値が付加されていない経済の仕組みに由来するものであると考えられます。現在の社会では、CO2排出量削減など「今の私たち」の生活の質に直結しない、遠い将来にしか本来の意味を持たない価値が現在の経済から外部化されている、あるいは「隠された価値」となっています。このような経済のもとでは、人間が本来持つはずの倫理観に根差す持続可能性の追求は、大多数の市民の自発的行動か ら疎外されたマイノリティーの枠に押し込められてしまうのです。

 しかし、人間の行動は即物的な価値のみに駆られるとは限りません。ある距離を移動するだけが価値であれば、安価で燃費の良い軽自動車が選択されるはずですが、超高級車で移動する美的感覚に価値を見出す人もいます。生きるための栄養を摂取するためには化学肥料で大量生産された食糧で十分なはずなのに、有機農法で丹念に育てた作物を好む人もいます。こうした美しさや楽しさを重視する価値観をエネルギーの世界にどのように実装できるのでしょうか?人間の本能や情動に言語以外の感性領域で向き合い、エクストリームにこそ本質を見出すようなアートデザインの先駆者が技術者や経営者と対等なキャッチボールを繰り返すことではじめて、現代社会から「隠された価値」を美の価値へ、そしてメインストリームへと昇華させる革新的な価値創造が可能になるのではないでしょうか。

 複雑な社会課題の解決策をデザインに託す動きが顕在化しつつあります。ただし、デザインの中にも、エンジニアリングの延長ともいえる技術的領域とアート性の高い領域があります。「隠された価値」に光を当てるのは、人への共感を超えて人の情動や感性に訴えるアートデザインです。本社会連携研究部門では、長期的な価値の社会実装を目指すステークホルダーが各々の課題を持ち寄り、アートデザインの先進地で世界的に活躍してきたアートデザイナーに導かれ、全ての人間に内在する能動的・自発的なアートデザイン力を引き出し、情動に響くコミュニケーション力を磨きあいます。そうした活動を通して、「隠された価値」を「美」として人々が自発的に追究するための仕掛けが次々と創発される場づくりを目指しています。

共生価値のアートデザインのスコープ

共生価値のアートデザインのスコープ

メンバー

  • 杉山 正和 教授
  • 専門分野:エネルギーシステム
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