宇宙惑星物質進化学分野 日比谷研究室
太陽系の起源と物質進化の解明を目指して
「私たちの太陽系は宇宙空間においてどのようにして誕生し、その後地球をはじめとした惑星の形成に至ったのか」 一連の物質進化過程の謎を紐解くために、 我々は同位体学や年代学、鉱物化学などの知識を使って、地球に度々降ってくる隕石や地球上の岩石を調べています。実際に宇宙から来た物質を手に取り、45億年も昔の地球や太陽系の形成とその進化の謎に迫ることができるのは、宇宙惑星物質科学の醍醐味といえます。
太陽系誕生時の環境・温度条件と初期太陽系物質進化
太陽系誕生期の周辺の恒星の種類や、原始惑星系円盤での物質進化を、隕石や隕石を構成する微小固体物質の分析から明らかにしようとしています。具体的には、質量分析計を用いた同位体分析法や年代測定法、および顕微鏡を用いた鉱物組織観察等を駆使し、 個々の試料の溶融環境や空間情報に時間軸を与えた議論を展開することで、惑星形成に至る物質進化の実態解明に挑んでいます。
地球形成後の太陽系物質進化
地球の材料物質はさまざまな隕石種の混合物であり、経時的に変化していた可能性が示唆されています。宇宙化学的な視点から地球材料物質の起源を特定することにより、地球初期進化研究を太陽系物質進化学という広い観点に位置づけていきたいと考えています。最近では、 深部マントル由来火成岩や地球上に残されている隕石衝突層から、地球形成期・初期生命誕生期に地球外で起きていた物質科学プロセスを探っています。
将来のサンプルリターン計画のための分析装置・化学分析法の開発
国際的な探査計画にも参画し、宇宙開発における諸課題の解決にも惑星科学の観点から貢献することを目指しています。具体的には、将来のサンプルリターン試料から最大限の化学的情報を引き出すための質量分析装置・分析法の開発を行っています。最近では、 隕石試料の分析結果と探査観測データの比較を行うことで、未来の地球外資源探査に向けた理学的な基礎研究も進めています。
  - 太陽系形成初期の情報を保存する始原的隕石 
  - 元素を抽出するために隕石中の様々な鉱物を酸で溶かした様子 
  - 希ガス同位体分析のために隕石を炉で加熱してガスを抽出している様子 
私は、幼少の頃、児童伝記シリーズを全て読破する程「伝記」を読むことが大好きでした。その中でガリレオ・ガリレイの伝記を読んでいた時、「地球は一日に一回自転し、太陽を中心として公転している」という事実に子供ながら衝撃を受けたことが惑星科学への興味の第一歩だったように思います。その後も、山を登りながら落ちている石ころの起源が気になったり、目の前に当たり前に存在している草木や動物といった生物、ひいては宇宙において地球惑星がどのようにして誕生して進化してきたのかを、先人たちのようにぜひとも解き明かしたいと思うようになりました。それから現在まで、子供の頃からの日常的な疑問や興味をずっと探求しているという感覚で研究の世界に身を置いています。今後も、将来の研究仲間が一人でも増えてくれるように、楽しく研究を進めていきたいと思っています!
メンバー
 
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		- 日比谷 由紀 准教授
 専門分野:同位体宇宙化学
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