研究者一覧
- 准教授Associate Professor
- 春日 郁朗KASUGA Ikuro
- 減災まちづくり 分野
略歴
2005年 3月 | 東京大学工学系研究科 博士課程修了 |
---|---|
2005年 4月 | 財団法人長寿科学振興財団 リサーチレジデント |
2006年 4月 | 東京大学工学系研究科 助手 |
2007年 4月 | 東京大学工学系研究科 助教 |
2013年 4月 | 東京大学工学系研究科 講師 |
2016年 9月 | 東京大学工学系研究科 准教授 |
2022年 4月 | 東京大学先端科学技術研究センター 准教授 |
研究分野
都市における水供給、水処理は多くの微生物に支えられています。例えば、東京都の主要浄水場には生物活性炭という微生物を活用した高度処理が導入されています。また、下水処理は活性汚泥法という生物処理が基本です。こうした技術は、経験的に確立されてきたもので、どのような微生物がどのような機能を有しているのか、ということはブラックボックスとして扱われてきました。生物処理の理解を深め、効率的な運転管理を実現するために、生物処理における微生物群集の構造、機能を分子生物学的手法を活用して解明する研究を進めています。例えば、生物活性炭では、近年発見された完全アンモニア酸化細菌のような新規の微生物が優占して、アンモニアの処理に関与していることも明らかになってきています。
一方、微生物は人間にとってはリスク因子でもあります。人口減少や水道インフラの老朽化により、建物内の給水管でレジオネラや抗酸菌のような日和見感染病原細菌が再増殖することが懸念されています。こうした細菌の生理生態を明らかにすることで、再増殖を制御する方法を検討しています。また、抗菌薬が効かない薬剤耐性細菌も国際的な課題であり、サイレントパンデミックとも言われています。薬剤耐性細菌を制御するためには、ヒト、家畜、環境の3つの要素を統合的に扱うワンヘルス(One Health)のアプローチが重要です。特に、下水処理が普及していない発展途上国では、未処理汚水の放出が薬剤耐性細菌の拡散につながっています。しかし、ヒト、家畜の知見に比べて、環境における薬剤耐性細菌の生残や遺伝子の水平伝播の実態は不明です。また、それらの監視方法自体も確立されていないことから、都市水環境、水システムにおける薬剤耐性細菌の挙動を明らかにする研究に取り組んでいます。
図1:生物活性炭
図2:水環境中の薬剤耐性遺伝子のメタゲノム解析
受賞
- 2011年 5月 日本水環境学会 論文奨励賞
- 2015年10月 日本水道協会会長表彰 有効賞
キーワード
都市水システム、生物学的水処理、薬剤耐性
大学院・専攻
- 工学系研究科 都市工学専攻