動物言語学分野 鈴木研究室
動物言語学:動物行動学、言語学、認知科学の「知」の融合
動物たちの会話がわかる未来の実現
当研究室は、動物言語学分野を専門とする世界で初めての研究室です。動物にみられる多彩な鳴き声やジェスチャーが(1)どのような意味を持ち、(2)生存や繁殖においてどのように役立つのか、そして(3)どのような認知能力のもとに進化したのかといった疑問について、動物行動学、言語学、認知科学の融合的アプローチにより探究します。フィールドでの行動観察や音声の録音・解析、認知科学を応用した行動実験、半自然条件下での飼育実験など、用いる手法は様々です。鳥類や哺乳類など、社会性を持ちコミュニケーションをおこなう動物を対象に研究を進めています。
言語進化の普遍原理の解明
動物のコミュニケーションを研究することで、ヒトの言語の起源や進化を紐解くことも大きな目標としています。従来、ヒトの言語と動物のコミュニケーションは断絶されたものであると考えられてきましたが、近年、両者のあいだに共通点が見つかっています。例えば、野鳥のシジュウカラは、鳴き声を使い分けて異なる意味を伝えたり、それらを組み合わせることで複雑なメッセージを作ったりすることができます。動物種間あるいは動物とヒトとの比較から、言語を生み出す認知能力の進化原理を追究します。
社会に開かれた共創型サイエンス
上記の課題を、環境教育や保全、動物福祉、人工知能分野へと応用し、社会イノベーションにつなげることも視野に入れて研究を進めています。研究成果の社会への発信やアウトリーチも積極的におこなっています。
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タカを示す警戒声を聞き、空を見上げるシジュウカラ
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ヘビを示す警戒声を聞き、地面を探すシジュウカラ
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調査地における鳥類の行動観察
動物たちは何を考え、何を話しているのでしょうか? 子どもの頃からずっとその疑問に興味を抱いてきました。高校時代に双眼鏡を手に入れてからバードウォッチングに夢中になり、大学ではシジュウカラの鳴き声の研究を始めました。「どうしてこんなにたくさんの声があるのだろう?」という素朴な疑問から始まった研究でしたが、続けていくうちに鳴き声が単語や文になっていることや、翼を使ったジェスチャーがあることなど、たくさんの発見がありました。現在、本研究室では学生や研究員と協力して、鳥類だけでなく哺乳類など他の動物たちにも研究の幅を広げています。動物たちの会話を理解できる未来を目指して、さらなる研究を進めていきたいと思っています。
メンバー
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- 鈴木 俊貴 准教授
専門分野:動物言語学、動物行動学
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