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人間と社会に向かう先端科学技術オープンラボ

文部科学省 科学技術振興調整費(戦略的研究拠点)

先端研は、文部科学省による「戦略的研究拠点育成事業」(いわゆるスーパーCOEプロジェクト)に応募、承認採択され2001年10月から4年半、「人間と社会に向かう先端科学技術オープンラボ」として組織自体のシステム改革に取り組みました。

改革構想として、掲げられた5つの目標

【1】科学技術基本計画で推進する、生命科学、情報通信、ナノテクノロジー・材料、環境の4重点分野の先に展開する新しい先導的研究領域の開拓
【2】既存の学問分野と既存の研究組織の枠を越えた弾力的で機動性のある研究組織形態への転換
【3】国内外の第一級の研究者を惹き付け、また育てることのできる高度な研究環境を提供できる仕組みの構築
【4】定員制、定年制の制約を克服し、研究者の流動化と国際化を実質的に促進する人事・評価制度の設計と実現
【5】研究成果をもって産業創成、文化創造に貢献することにより社会も研究者も報われる社会連携/産学連携の仕組みの設計と実現

目標達成のための4つの仕掛け

【1】戦略的研究課題

既存の大学組織の枠である「大部門」とは別に、以下の3領域を戦略的研究課題として設定
(1)環境共生と高度情報化を前提として「快適、安心で安全な生活圏」建設のための科学技術開発
(2)膨大化する知識情報、感性情報を活用し、多様化と不確実性への挑戦を可能にする「活力ある経済・社会システム」実現のための科学技術開発
(3)社会的需要と相互作用しつつ、人間の身体・感覚機能の拡大を目指す「人間理解」の科学技術開発

【2】オープンラボ型組織運営

オープンラボ型組織とは、テーマの提案、研究実施、成果の公表と評価、研究者の採用、異動に関して広く学内外、国内外に開かれた研究組織です。3つの戦略的研究課題の達成に焦点を絞り、既存の学問分野、既成の研究組織を超えた研究者の結集を図っています。センター長(当時)が各プロジェクトのプロジェクトリーダーを先端研内外から指名し、リーダーがそのプロジェクトの構成員となる研究者を学内外、国内外から集めます。実施期間は3-5年に限定し、原則として研究経費は競争的外部資金でまかなうこととされていました。
なお、2004年4月の国立大学法人化に伴って既存の大部門制を廃止し、クラスター制が導入されました。

【3】特任教員制度

オープンラボ・プロジェクトで外部から招聘する研究者を特任教授、特任助教授(当時)、特任講師等と呼び、従来の大学における定員の制約を克服して優秀な人材を集めることが出来ました。

【4】オフキャンパス拠点経営

オフキャンパス拠点経営については2001年11月、六本木に「先端テクノロジービジネスセンター(AcTeB)」を開設しました。CASTI(東京大学TLO)、ASTECと連携して技術移転、包括的共同研究などのリエゾン事業、大学発ベンチャー育成のためのインキュベーション事業、産学連携・技術管理の人材を育成するスクール事業の展開と、産学連携に関る法政策・制度や利益相反などに関する研究を行う拠点となりました。
インキュベーション事業の一環としてインキュベーションプロジェクト(TBI)を実施し、それまでの先端研や、オープンラボ・プロジェクトの実施過程で得られた研究成果をAcTeBの支援の下で事業化する試みがなされました。事業家の見込みが立ったものは「卒業」という形がとられました。なお、AcTeBについては、2006年4月の経営戦略企画室の設置に伴い、その機能が吸収されています。

プロジェクトの成果

文部科学省では、先端研のスーパーCOEに関して、中間評価(*)と事後評価を行っています。
(文部科学省「平成18年度科学技術振興調整費の評価結果等について」)

事後評価

目標達成度:

オフキャンパス・プロジェクト(AcTeB)について、オフキャンパスに設置された効果が十分に発揮されなかった点、「研究者の評価システム構築」への取組みが不十分であったとして若干評価が厳しくなっています

※AcTeBのオフキャンパス化は一定の成果をあげつつも、同拠点における業務が単純な広報業務に近い色彩が強くなる懸念があり、プロジェクト後半にオンキャンパスに戻した経緯があります。

※研究者の評価システムについては、定常的な研究者評価を給与に関連付ける方式等が、その労力に対して十分な研究活性化効果を得るのが難しいと判断し、当面導入しない方向となったものです。

組織運営の妥当性:

センター長(現所長)に強い権限と責任を与えた点、経営戦略室の設置により教授会から経営事項を分離し、意思決定をトップダウンで行う体制を整えた点が評価されました。

組織改革の成果:

外部資金の獲得学を大幅に増やしたこと、「特任教員」という先駆的な制度設計をしたことが評価されました。

実施期間終了後における取組の継続性・発展性の見通し:

高い研究ポテンシャルによる競争的資金の獲得や、「経営戦略企画室の設置による経営機能の強化」「特任急小院生殿継続」「クラスター制やオープンラボ型組織の継続的発展」等の取組が継続して実施されていることが評価されました。

総合評価:

特に特任教員制度等について、「波及効果の高い極めて優れたシステム改革を成し遂げた」として、総合評価はAとなりました。

(*)ご参考

中間評価

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