構造生命機能工学分野 加藤研究室
タンパク質を視る・識る・創る —ミクロな理解を新たなバイオテクノロジーへ繋げる—
タンパク質は長い時間をかけ進化してきており、驚きに満ち溢れています。それ故に、その機能の分子基盤を理解した時の興奮、その機能を改変し自然を乗り超えた時の喜びはひとしおです。私達の研究室ではクライオ電子顕微鏡を用いたタンパク質構造解析やAI技術、電気生理、分子薬理的手法などを組み合わせることで、生命原理の根本理解や新規のバイオテクノロジー・創薬シーズの開発を目指します。また既知タンパク質の研究だけでなく、自然界に眠る有用タンパク質の発見や、タンパク質のde novoデザインも行っています。
現在は特に以下の3項目に力を入れながら研究を進めています。
生物による光センシング機構の更なる理解と、光遺伝学技術の高度化
生物は光のエネルギー・情報を様々な形で利用しています。我々はこの光受容タンパク質の探索や構造機能解析を行い、その作動原理を理解するとともに、光により生命現象を操作する新たな分子ツール(光遺伝学ツール)の開発を行っています。
生物による磁気センシング機構の解明と、磁気遺伝学技術の創出
我々の研究室では、近年光に代わる物理刺激として磁気にも注目しています。渡り鳥の様な生物が磁気を感知する分子機構をミクロな視点から理解し、磁気により生命現象を操作する全く新しい生命操作技術(磁気遺伝学)の開発を目指して研究を進めています。
生物によるその他物理化学刺激センシング機構の解明と、化学遺伝学技術・創薬シーズ開発
我々の研究室では上記以外にも多彩な物理化学刺激(ホルモン・神経伝達物質・匂い分子・pH・圧力・熱など)によって活性化される様々なタンパク質の構造機能解析を行っており(例:GPCR)、得られた理解を生かすことで新たなバイオテクノロジーや疾患治療薬の開発を進めています。
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(1) 加藤英明研究室の研究概略
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(2) 物理化学刺激受容タンパク質の構造解析例
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(3) 新規光遺伝学ツールの開発例
生物がGPCRや(非GPCR型の)ロドプシン、あるいはPYP、Cryptochrome、TRPチャネルなど多種多様なタンパク質を用いて、光や磁気、熱、匂い分子など様々な物理化学刺激を生物にとって利用しやすい形へと変換し、活用しているのは本当に凄いな、と思いながら日々研究を行っています。最近は忙しくて自分で実験を行う時間を取れずにいますが、その分学生さんや研究員の人たちとデータやプロジェクトについてdiscussionするのは日々の活力となっています。私生活で言えば、昔は朝9時に起きて翌朝3時に寝るくらいの筋金入りの夜型だったのですが、最近生活環境に変化があって朝7時起き、夜12時寝くらいの朝型になってしまいました。趣味はカフェ巡りや船釣り、あとは美味しいものを食べて美味しいお酒を飲み、サイエンスの話をすることです。
メンバー
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- 加藤 英明 教授
専門分野:構造生命科学, タンパク質デザイン, ロドプシン, GPCRs, 光遺伝学, 磁気遺伝学
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