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グローバル気候力学分野 小坂研究室

気候の成り立ちと変動を、巨大データとシミュレーションから探る

気候変動のグローバルな連鎖のメカニズムを探求し、予測への鍵を導く

地球の大気と海洋は相互に影響し合い、気候システムを形成します。気候は太陽活動の変動や人類による温室効果ガス排出などの外部強制だけでなく、気候システム内部におけるカオス的な性質によって、揺らぎ移ろいます。グローバルな規模で起こるこのような気候変動を形作るのが「テレコネクション」と「大気海洋相互作用」です。数千km以上のスケールで起こる大気の変動は時空間的に組織化され、テレコネクションパターンと呼ばれる特有の変動パターンを構成し、遠く離れた地域間の気候の共変動をもたらします。また大気と比べてゆっくりと変動する海洋は、テレコネクションを介して数ヶ月から数年、ときには数十年に渡って、世界中の様々な地域の気候に影響しま す。海洋変動とそれがもたらすテレコネクションは、天候を数ヶ月、あるいは1年以上前から予測する上での鍵にもなります。さらに、このような気候の自然変動は、人為起源の地球温暖化と干渉し、ときには更に激しい熱波をもたらす一方で、温暖化と逆行するかのような寒冷化を一時的に引き起こすこともあります。
私たちはこういった気候変動の研究に取り組んでいます。そこで不可欠なのが、過去から現在に渡って大気と海洋の状態を時空間4次元の格子状に表現した「再解析」データや、さらには僅かに異なる初期条件によって何度も気候モデルシミュレーションを繰り返した「アンサンブルシミュレーション」データです。当研究室は、このようなビッグデータの解析や、新たな気候モデルシミュレーションのデザインと実施により、気候システムのグローバルな共変動の理解と、それに基づく予測可能性の特定により、気候変動への対策に資する科学的知見の創出を目指して研究に取り組んでいます。

4 次元地域気象データの整備と社会活用の推進

我が国では地域的な大気状態を高い時空間解像度で過去から現在まで4次元的に再現した地域気象再解析データが整備されていません。先端研では当研究室が中心となって気象庁と本学情報基盤センター等と協力しつつ、このデータの整備と幅広い社会利用を促す10年計画の「共創の場形成支援プロジェクトClimCORE」を、科学技術振興機構からの支援の下で2020年末に開始しました(プロジェクトリーダー: 中村尚 シニアリサーチフェロー)。現在作成中の日本域気象再解析データRRJ-ClimCOREは、気象庁の最新のメソ予報・同化システムに過去の観測データを取り入れるもので,今世紀に入ってからの日本とその周辺海域の大気状態を水平5km間隔で1時間毎に再現するデータです。併せて、雨量計とレーダー観測を融合した気象庁の「解析雨量」データ(1km間隔の時間降水量)の更なる改善にも取り組んでいます。

2010年8月に日本に記録的猛暑をもたらした上空の高・低気圧の波列

2010年8月に日本に記録的猛暑をもたらした上空の高・低気圧の波列

世界平均地表気温変動の気候モデルによる再現

世界平均地表気温変動の気候モデルによる再現

ミニコラム
当研究室のPIは大のドラえもんファンです。そのことが研究室メンバーにバレたあとのある日、研究室に巨大ドラえもんぬいぐるみがお越しになりました。その後も研究室のスタッフや学生からドラえもんグッズの差し入れが相次ぎ、今ではドラえもんまみれになったドラえもんが、研究室の主として鎮座し、訪問者に多大なインパクトを残すとともに、PIや研究議論に訪れるスタッフや学生にとっての心の癒やしとなっています。

ドラえもん

当研究室の主。左は研究室にいらっしゃった当初、右はドラえもんまみれになった2025年6月のお姿。

メンバー

  • 小坂 優 准教授
  • 専門分野:気候変動、異常天候、気候シミュレーション
  • 宮坂 貴文 特任准教授
  • 専門分野:気候変動、異常気象、大気海洋相互作用
  • 中村 尚 シニアリサーチフェロー
特任助教 森 正人

研究室ホームページ

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