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高機能材料分野 白岩研究室

破壊の理解が拓く材料設計

材料の破壊は、内部の微視組織における変形や損傷が少しずつ蓄積し、やがてマクロな破壊へと至る階層的な現象です。破壊がいつ・どこで・なぜ始まるのかを理解することは、材料を限界まで安全に使い切るための鍵であり、構造材料を社会で安心して使い続けるための基盤でもあります。私たちの研究室では、力学計測・その場観察・数値解析・データ科学を融合し、ミクロからマクロへとつながる破壊のメカニズムを明らかにします。得られた知見を材料設計へと還元することで、自動車・航空機・インフラなど社会の根幹を支える構造材料の高信頼化を目指しています。

微視変形・損傷のその場計測

破壊の起点となる微視的な現象は、ごく短い時間に局所的に生じるため、観察そのものが大きな挑戦です。私たちは、デジタル画像相関法(DIC)、アコースティックエミッション(AE)、高速度カメラを組み合わせた独自のその場計測システムを構築し、ナノメートルスケールの変位とサブマイクロ秒の時間分解能で変形・損傷を捉えています。これにより、双晶変形やキンク変形といった瞬時に起こる現象のリアルタイム観察にも世界に先駆けて成功しました。さらに、AE 信号の波形解析と機械学習を組み合わせることで、微小なき裂発生や相変態など、目には見えない現象を定量的に識別する技術の開発を進めています。

シミュレーションとデータ科学による材料設計

実験で得られた知見を予測と設計へつなげるため、結晶塑性有限要素法(CPFEM)を基盤とする数値解析を展開しています。双晶変形や相変態、損傷の素過程を組み込んだ構成則により、強度・延性・疲労特性を微視組織と結びつけて予測します。さらに、CPFEM による仮想実験で得られる大量の「組織- 特性」データを機械学習とベイズ最適化で解析し、強度と延性のトレードオフを克服する微視組織を自動探索する取り組みも進めています。これらの枠組みは金属積層造形(AM)にも展開しており、造形中のAE モニタリングと深層学習による欠陥検出、CPFEM 解析による造形材の特性予測を組み合わせて、AM 部材の信頼性向上を目指しています。

微視ひずみ計測とその場観察システム
微視ひずみ計測とその場観察システム

強度-延性トレードオフを克服する微視組織の探索
強度-延性トレードオフを克服する微視組織の探索

ミニコラム
子どもの頃から、ゲームの「調合」や「錬金術」が好きでした。世界観に惹かれたというより、ある素材と素材を組み合わせると、単なる足し算を超えて、急に強力なアイテムが生まれるシステムが面白かったからです。思いがけない組み合わせで特異的な性質が現れる。その感覚は、材料工学への興味の原点かもしれません。構造材料でも、元素の組み合わせや加工・熱処理の条件が少し変わるだけで、強さや壊れにくさは大きく変わります。それは、材料の中でどこに変形が集中し、どこからき裂が発生し、どのように壊れていくのかが、材料組織によって左右されるからです。今は、そうした微視的な変化と目に見える材料特性との関係を、観察や計測、シミュレーション、データ科学を通して明らかにしようと、学生たちと一緒に取り組んでいます。

メンバー

  • 白岩 隆行准教授
  • 専門分野:材料力学、破壊力学、非破壊評価、材料信頼性、材料インフォマティクス
学術専門職員 ポンテープ チワウィブン(専門分野:アコースティックエミッション、非破壊評価、表面処理)

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